マンション売却の基礎知識

2020-12-02

【分譲マンション売却】流れと高値売却のポイントを押さえよう

●年前に買った分譲マンション、スムーズに売却するには?

分譲マンションを売るならいつ? 不動産会社選びのコツは?

マンション売却には、「相場を知り適切な価格で売り出す」「信頼できる不動産会社を一括査定によって見つけ出す」など、いくつものコツがあります。

中古マンション市場が活況を呈している昨今ですが、こうしたコツを押さえないと相場より安い価格で売却せざるを得なくなり、後悔することもあるかもしれません。

本記事では、分譲マンションをスムーズに売却するためのコツのほか、マンション売却の流れ、高く売れる分譲マンションのポイントなどを解説します。

目次

    分譲マンションの売却で失敗しないための5つのポイント

    分譲マンション売却失敗しないポイント

    「できるだけ高くマンションを売りたい」とは誰もが思うことでしょう。

    しかし現実には、「思っていたより安かった、損をした」と売った後で悔やむケースも少なくありません。

    失敗の原因は、ずばり準備不足にあります。

    分譲マンションの売却で失敗しないための5つのポイント

    • 引っ越しの最低3ヶ月前から売り始める
    • 相場からかけ離れた価格で売り出さない
    • 不動産会社を徹底的に比較して1社を選ぶ
    • 売却時にかかる税金や費用を把握しておく
    • 競合に勝てるよう「ネット広告」を工夫する

    ここでは、上記5つのポイントについて解説していきます。

    【ポイント1】引っ越しの最低3ヶ月前には売り始める

    一般的に、分譲マンションの売却にかかる期間は、売出しから成約まで約3〜6ヶ月です。最低でも引っ越しの3ヶ月前には動き始めましょう。

    数千万円のお金が動く高い買い物ですから、好立地の築浅物件でも、購入希望者は簡単には見つかりません。

    また、高く売ろうと思うと、それだけ購入希望者が見つかるまで時間がかかります。

    逆に「引っ越しが迫っている」など、売却を焦ってしまうと、値下げせざるをえません。

    【ポイント2】相場からかけ離れた価格で売り出さない

    大切なマンションの売却は、せっかくなら高く売りたいもの。しかし、相場からかけ離れた価格をつけると、購入希望者は敬遠します。

    「もっと安い物件がほかにある」と考えるからです。

    中古マンションには相場があります。
    エリア・広さ・築年数」などが同じ条件なら、大体同じ価格帯で取引されます。

    また、購入希望者も、不動産ポータルサイトなどで事前に、「希望のマンションの売り出し価格」を把握しています。

    これらのことを、念頭に置いておきましょう。

    マンションの適正な売り出し価格を決める方法は?

    分譲マンションの適正な売出し価格を簡単に知るには、次のような方法があります。

    • 同じマンションの売り物件の値段をチェックする
    • 不動産ポータルサイトで、同じエリア・広さ・築年数など、売りたい物件に近い物件を探して、値段を調べる

    【ポイント3】不動産会社は徹底的に比較して選ぶ

    不動産会社は、最初から1社に絞らず、複数を比較して選びましょう。

    「一括査定サイト」を利用すれば、無料で同時に複数の不動産会社に査定依頼できます。


     

    不動産会社によって査定額はまちまちですが、おおよその相場が見えてきます。

    信頼できる不動産会社を選ぶためにも、複数社へ査定依頼、比較しましょう。

    査定価格だけで不動産会社を決めるのは危険

    複数社の査定価格を比較する際、査定価格の一番高い不動産会社を選びたくなりがちですが、注意が必要です。

    媒介契約の獲得のために、相場を無視した高い査定価格を提示する不動産会社もあるためです。

    査定価格の根拠の説明を求め、根拠が納得できる不動産会社を選びましょう。

    また、

    • 担当者との相性
    • 物件を売り出すさいのネット広告やチラシの作成に優れた会社
    • 希望価格で売るための戦略を親身になって考えてくれる会社

    など、複数を比較するなかで見えてくるものがあります。

    【ポイント4】売却時にかかる諸費用や税金を把握しておこう

    マンションの売却には、諸費用や税金が発生します。「マンションの売却価格=手取り額」ではないので注意しましょう。

    例えば、費用として大きいのが、不動産会社に支払う「仲介手数料」。

    仲介手数料は、宅地建物取引業法等により、売買代金の金額区分ごとに、上限額が規定されています。

    取引額
    仲介手数料(税抜)
    200万円以下の金額 取引額の5%以内
    200万円を超え
    400万円以下の金額
    取引額の4%以内
    400万円を超える金額 取引額の3%以内

    例えば、3,000万円で売却成立した場合の仲介手数料は、1,056,000円(税込み)です。

    マンションの売却でかかる費用の内訳、税金の詳細は、下記の記事をご覧ください。

    関連記事

    マンション売却にかかる税金はいくら?パターン別シミュレーション

    マンション売却にかかる費用とタイミングは?プロ監修の節約方法も紹介

    【ポイント5】ネット広告で競合に勝てるよう売り出してもらおう

    中古マンション市場が好調な今、ライバルとなる物件の供給量も増えています。

    そこで重要になるのが、インターネット広告です。

    購入希望者をひきつけ、「実際に見に行ってみたい」と思わせる広告には次のような特徴があります。

    • 掲載写真の数が多く、どんなマンションかイメージがしやすい
    • 学校、病院、スーパー、図書館、公園などの地域の情報も盛り込まれており、住みやすさをアピールしている

    あまり写真を増やしすぎてしまうと、『内覧しなくてもいいか』と思われてしまう場合もあります。

    どんな広告を作成すればマンションの魅力が伝わり、内見に繋げられるか、不動産会社と相談しましょう。


     

    マンション売却の流れとかかる期間

    マンション売却から成約までの流れを整理すると、次のようになります。

    前述の通り、売出しから成約までは最低でも3ヶ月かかります。

    1. 事前準備
    2. 相場の調査・査定依頼
    3. 媒介契約・販売活動
    4. 売買契約の締結
    5. マンションの引き渡し

    それぞれ見ていきましょう。

    マンション売却の流れについて、詳しくは下記の記事を参考にしてください。

    関連記事:マンション売却の流れとかかる期間・費用|失敗しないための注意点

    STEP1 事前準備

    まず、マンションの売却に必要な書類を揃えたり、価格の相場を調べます。

    相場を調べる方法は、SUUMOなどの不動産ポータルサイトでチェックするのが一般的です。

    売却予定のマンションと「エリア・広さ・築年数」などの条件が近いマンションがいくらで売り出されているか、検索してみましょう。

    ポータルサイトに掲載されいてる価格は「売り出し価格」です。

    実際に売れた価格をを示す「成約価格」でない点に注意しましょう。

    STEP2 相場の調査・査定依頼

    次に、不動産会社にマンションの査定を依頼をします。

    査定とは、マンションがいくらで売れそうか目安を知ることで、不動産会社に無料で依頼できます。

    一括査定サイト」を利用して、複数の不動産会社に同時に簡易査定を依頼するのがよいでしょう。

    マンションの相場を把握したり、さまざまな不動産会社に販売戦略や査定根拠を問い合わることが可能です。

    関連記事:マンション査定で損しないための注意点!おすすめ方法とよくあるQ&A

    STEP3 媒介契約・販売活動

    マンションの売却を任せる不動産会社と媒介契約を結びます。

    媒介契約には「一般媒介契約」「専任媒介契約」「専属専任媒介契約」の3種類があります。

    一般媒介契約
     複数の不動産会社に取引の仲介を依頼できる

    専任媒介契約

    • 1社の不動産会社にのみ仲介業務を依頼できる
    • 売主自身が買手を見つけることも可能
    • 物件情報を不動産取引情報サイト「レインズ」へ掲載義務がある
     

    専属専任媒介契約

    • 1社の不動産会社に限定して依頼する契約
    • 売主が自身で買手を見つけた場合も、不動産会社に仲介手数料を払う必要がある
    • 物件情報を不動産取引情報サイト「レインズ」へ掲載義務がある

    多くの不動産会社は、確実に仲介手数料が保証される専任媒介契約または専属専任媒介契約を結ぼうとします。

    売主にとっても、専任媒介契約または専属専任媒介契約は熱心な営業活動が期待できます。

    一社と一般媒介契約を結び、「レインズ」へ掲載せず不動産ポータルサイトに掲載し、一般の買主をターゲットにすることが可能です。

    余計なコストがかからない、広く拡散されすぎないので物件のブランドが落ちない、などメリットがあります。

    レインズとは?

    国土交通大臣の指定を受けた不動産流通機構が運営しているネットワークシステム。

    不動産業者のみが登録・利用できる。

    不動産会社と媒介契約を結んだあとは、実際の販売活動へ進みます。

    ネット広告やチラシを作成し、購入希望者の内覧に対応します。内覧については、のちほど詳しくポイントを解説します。

    STEP4 売買契約の締結

    書面で売買契約書を締結し、その場で買主から手付金を受領します。

    手付金は、物件価格の5〜10%程度です。

    代金の全額を受け取るのは、契約後の引き渡し、融資確認などを経て、1ヶ月ほどあとです。

    ローンの残債がある場合は、抵当権を抹消する必要があります。契約締結後に金融機関に手続きを行うようにしましょう。

    関連記事:マンション売却でローン残債があっても売れる?その方法と注意点

    STEP5 マンションの引き渡し

    買主から残りの代金を受領し、司法書士立ち会いのもと、マンションの所有権の移転手続きを行います。

    抵当権抹消登記費用や仲介手数料などの精算もこのタイミングでします。

    詳しくは、「マンション売却の流れとかかる期間・費用|失敗しないための注意点」でも解説しているので、こちらもご確認ください。

    マンションが高く売れる時期は?今は売り時?

    気になるのは、マンションの売りどき。

    一般的に、新年を迎える直前の年明けから2月頃までが売却件数のピークとされます。

    しかし、マンションの売却は、「時期は気にせず、売りたいと思ったときが売るタイミング」といえます。

    マンションは大きな買い物のため、多くの購入希望者は、時間をかけて探そうとします。希望に合うマンションが見つかれば、時期によらず購入するでしょう。

    また、マンション市況は国の政策にも影響を受けます。

    金利が下がる、住宅ローンの控除期間が延びるといった要因で、中古マンション需要が刺激されることも。

    さらに、マンションには「新しいほど高く売れる」という大前提があります。

    マンションの売却は、時期を選ばず「売りたいと思ったときが売るべきタイミング」だといえるでしょう。

    今後マンションの価格はどうなる?

    大きなトレンドを見ると、超低金利を背景に不動産価格は上がり続けています

    新型コロナウイルスの感染拡大、東京五輪の延期といった大きな出来事のあとも高値をキープしています。

    とはいえ、新型コロナウイルスが日本経済に与えた打撃は非常に大きなもの。これ以上、不動産価格が上がるとは期待しにくい状況です。

    詳細は「マンション売却価格の相場、どう調べる?コロナ下の不動産市況も解説」記事で解説しています。

    内覧準備の注意点を押さえよう

    内覧とは、購入希望者に家のなかを案内することをいいます。

    購入希望者にとって、これから住むかもしれない家を初めて見る機会です。内覧時の印象は、買うか・買わないかの判断を大きく左右します。

    「広告では好印象だったのに、見てみたらガッカリ」は避けたいもの。

    内覧時によい印象を持ってもらえるよう、事前の整理整頓、内覧時の対応のポイントをまとめました。

    • 家のなかの「断捨離」を進めよう
    • 「聞かれたら答える」が基本!アピールはほどほどに

    家のなかの「断捨離」を進めよう

    内覧者を迎える前に、家のなかの掃除は必ずしましょう。

    特に玄関、リビング、水回り、バルコニーは念入りに。水回りの清潔感は女性がもっとも気にするところです。

    リビングなど各部屋も掃除し、整理整頓を行います。ベランダの洗濯物も取り込んでおきましょう。

    内覧は、引き渡し前の「まだ自分が生活している」状態を見せる場合と、退去した後の「何もない」空室の状態を見せる場合があります。

    まだ生活している状態を魅せる場合でも、極力片付けましょう。内覧者は先住者の生活感を嫌います

    引越し先に持っていかないものは、内覧前に「断捨離」をしてしまいましょう。

    そうした方が部屋は広く見えますし、内覧者も引越し後の生活をイメージしやすくなります。

    「聞かれたら答える」が基本!アピールはほどほどに

    住んでいる状態で内覧者を迎える場合、売主本人が内覧の対応する場合があります。

    内覧者から、「部屋の住心地」や「周辺環境」などを尋ねられることもあるため、答えられるように下準備をしておくと安心です。

    男性はマンションの値段、面積、ブランドなどスペック面を気にします。

    女性は水回りの使い勝手、近所付き合いや騒音の有無、治安、スーパーが近いかなど、生活面を気にする傾向があります。

    内覧者が夫婦の場合、女性の意見や感想が重視される場合もあります。

    もう1つ内覧時に大切なのは、部屋の魅力をアピールしすぎないこと。

    内覧者が魅力に感じる部分と、売主がアピールしたい部分は必ずしも一致しません。

    「内覧者に聞かれたことに誠実に応える」のみで十分です。

    曖昧な回答はせず、答えられないようなら「後日、●日までに連絡します」というふうに決めておくとより誠実といえるでしょう。

    高く売れる分譲マンションはココが違う!

    一般的に、高く売れるマンションには次のような特徴があります。

    • 主要ターミナル駅からのアクセスが良い
    • 最寄り駅から徒歩10分以内
    • 図書館や学校など、公共施設・教育施設が近い
    • 緑が多い公園があるなど、自然環境に恵まれている
    • 大手ハウスメーカー・大規模分譲地内の物件
    • 外観・エントランスに高級感がある
    • 築年数が10年以内
    • 競合となる物件に比べて面積・部屋数で上回る
    • 定期的にメンテナンスされており、雨漏りなどのトラブルがない
    • 広いリビングルーム
    • 共有部分が広い
    • 壁や天井、ベランダなど目がつくところに破損・劣化がない
    • マンション全体に高級感・安心感がある
    • タバコの匂いなど、嫌な匂いがしない

    「徒歩10分以内」については、近年は少し駅から離れていても、高く売れる場合もあります。

    都心部のマンションでは難しいような、下記のようなマンションが人気です。

    • 敷地が広い
    • エントランスの見映えがよい
    • 共用部分がゆったりしている

    分譲マンションの売却にまつわるよくある質問

    ここからは、分譲マンションの売却にまつわるよくある質問について答えていきます。

    Q.売却と賃貸迷っています。どっちが良い?

    A.基本的には、売却がおすすめです。

    マンションを賃貸で1部屋、居住用で1部屋所有する場合、二重にローンを抱える可能性があります。この場合、相当な与信がないとローンの審査が通りません

    ただし、賃貸の需要そのものはあります。分譲マンションは総じて、賃貸物件よりスペックが高いためです。

    例外で、3年間海外赴任する間、「期間限定で賃貸に出す」などの選択肢をとることは可能です。

    また、リーマンショックなどの大きな出来事により不動産市況が悪化し、売却価格が大きく下がっている場合も、「景気が回復するまで賃貸にした方がよい」という判断があり得ます。

    Q.ローン残債があっても売却はできる?

    A.ローンの残渣があっても、マンションの売却は可能です。

    ただし、マンションの売却代金でローンを完済できる場合と、できない場合で異なる手続きが必要です。

    詳細は「マンション売却でローン残債があっても売れる?その方法と注意点」の記事で解説しています。

    Q.検査サービス(ホームインスペクション)は受けたほうがいい?

    A.基本的には、受ける必要はありません。

    ホームインスペクションとは、中古住宅について、劣化や欠陥、破損がないか専門家が調査するものです。

    そのため、ホームインスペクションをクリアした物件=安心・安全に住める物件、と見なすことができます。

    しかし、ホームインスペクションを受けたから売却価格に上乗せできる、というものではありません。

    またホームインスペクションは、物件単独というよりマンション全体の管理状況見るものです。

    ここで売却前に問題が発覚しても、個人の意向では修繕できない場合があります。

    Q.不動産会社は中小と大手どちらがいい?

    A.大手も中小も、不動産仲介でやることは同じ。査定価格や販売戦略の根拠を説明できる会社を選ぶべき。

    とはいえ、対象マンションの分譲主が大手の不動産会社なケースが多く、その場合は売る時も同じ会社に頼むケースが大半でしょう。

    大手不動産のメリットは、そのエリアに詳しく、多くの物件を取り扱っていることです。ただし、これはどちらかというと買手側のメリットです。

    その情報量の多さから、大手不動産会社が出す査定価格が平均的なものになりがちともいえます。

    相場より高くても、「その値段で買いたい」人がいればスムーズに売却が成立するケースもあります。

    いずれにせよ、販売戦略がしっかりしており、あなたの希望を親身になって聞いてくれる不動産会社を選ぶことが大切です。

    まとめ

    • 分譲マンションの売却は準備が決め手。遅くとも3ヶ月前から動き始めよう
    • 理由もなく高い値段はつけられない。まずは「相場」を知ろう
    • 複数の不動産会社に査定依頼して、査定価格を比較検討しよう

    監修者

    大野 光政(おおの みつまさ)

    一級建築士、宅地建物取引士、既存住宅現況検査技術者

    大金興業株式会社代表取締役。
    建築士事務所、不動産業、建設業などの業務をマルチにこなす一方で、建築や設備に関連する資格を多数所持していることを活かし、2006年から生活情報サイト「All About」の公式ガイドとして建築・リフォームなどの記事を執筆。
    一般消費者に建築や不動産に関わる話をわかりやすく親しみやすく伝えることをモットーとしている。
    ■Webサイト
    大金興業株式会社
    https://www.daikin-i.com/

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