住宅ローンが払えない!体験談から学ぶ2つの対策と3つのNG行動
「住宅ローンが払えない…もうどうしたらいいかわからない…」
「コロナじゃなければ計画通り払えたのに…」
住宅ローンの支払いを滞納すると、任意売却や自己破産・最悪の場合、家を差し押さえられ、競売で安く売られてしまう結果に。
そのようなことにならないためにも「住宅ローンが払えない」とわかった瞬間に行動しましょう。
この記事のまとめ
- 住宅ローン滞納前であれば金融機関にリスケの相談を
- 滞納後であれば競売になる前に任意売却の相談を(競売は回避すべき)
- 任意売却前には査定サイトで査定をしておくと売却相場がわかるので返済の計画が立てやすい
目次
住宅ローンが払えない4人の体験談
住宅ローンが払えなくなる理由は、失業、離婚、コロナなど、人それぞれ。
どのような理由だとしても、とても大変なことです。
この見出しでは、実際に住宅ローンが払えなくなった方々のリアル体験談を4つご紹介いたします。
1.体調を崩してしまい収入減で支払い困難に戸建て 3000万円(妻・夫・子1人)

住宅ローンを払えなくなってしまった理由を教えてください
夫婦共働きで支払っていたのですが、私が体調を崩してしまいしばらく仕事を休むことに。
旦那一人の稼ぎでは生活が成り立たなくなってしまい、ローンの返済まで手が回らなくなってしまいました。
最終的にどのようになりましたか?
手続きをすると傷病手当がもらえることがわかったので、すぐに手続きをしました。
ただ手当が入るまで1ヶ月程かかるとのことだったので銀行に相談しました。理由を説明したところ無事待ってもらえました。
こうしておけばよかったことなどはありますか?
急に病気になって払えなくなるとは全く想定していなかったので貯金って大切なんだなって思わされました。
現在払えなくなってしまった方へ伝えたいことはありますか?
払えなくなったからといってそのまま逃げていてもなにも解決しません。使える制度や銀行に見直しをしてもらうなど何かしら策はあるはずです。
2.夫の女性関係と金銭問題が原因で離婚3LDKマンション 4500万円(妻・夫・子2人)

住宅ローンを払えなくなってしまった理由を教えてください
夫の女性関係と金銭問題が原因で離婚。
元夫とは住宅ローン返済を続けるかわりに慰謝料は請求しないという取り決めでしたが、急に自分が住んでいないマンションにお金を払い続けることはできないと言い出し、連絡も支払いも途絶えてしまいました。
最終的にどのようになりましたか?
夫の所在を探し、実親にも相談したのですが、住宅ローンを私名義にして、今も払い続けています。
こうしておけばよかったことなどはありますか?
離婚だけでとても大変だったのに、2年経ってからローンが支払えないなどと言い出しとても大変でした。
離婚時に名義をどうするか、よく話し合っておけば良かったと思います。
現在払えなくなってしまった方へ伝えたいことはありますか?
結婚当時は仲良くても、最悪のケースを想定してローンを組むことをおすすめします。
離婚時も、口約束だけでは危険です。法的に書類を作った方が良いです。
現在払えなくなってしまった方へ伝えたいことはありますか?
売却も考えましたが、確実に借金は残ってしまいます。頼れる人がいるならその人に借りたほうがいいかなと思います。
3.コロナの影響でボーナスと残業代大幅カット3LDK戸建て 5000万円(妻・夫・子1人)

住宅ローンを払えなくなってしまった理由を教えてください
ボーナスを当てにして住宅ローンを組んでいました。
コロナの影響で会社からボーナスが3分の1ほどしか出ず、住宅ローンを払うことが困難になりました。
また、月々のローンもかなり多い残業代を当てにしていたのですが、在宅ワークが主流になり、残業がほぼゼロになったことで、払えなくなってしまいました。
最終的にどのようになりましたか?
義理の両親にお金を借りながら、今もローンは払い続けています。
こうしておけばよかったことなどはありますか?
ローン払い頼りの住宅ローンは組まないほうがよかったなと後悔しています。
住宅ローンを組んだ人が亡くなった場合、支払い義務は無くなりますが、リストラされたり働けない体になったりした時のことを全く予想していなかったので、当時の自分に教えてあげたいです。
4.旦那のギャンブル好きが原因で…2LDKマンション 2180万円(妻・夫・子1人)

住宅ローンを払えなくなってしまった理由を教えてください
旦那がギャンブルにハマり給料の大半を競馬や競艇に費やしている事が判明し、口座にお金が入っていないのでローンを引き落とせ無いと連絡が来て判明しました。
最終的にどのようになりましたか?
私も働いていましたが、貯金を勝手に使われて払えないので、1か月分だけ借金をし返済する事にしました。今もローンを払い続けています。
こうしておけばよかったことなどはありますか?
旦那のギャンブル癖を治すのが大変でした。お金の管理は妻がするべきだと思います。
現在払えなくなってしまった方へ伝えたいことはありますか?
簡単に手放さないで何か方法や手段を見つけるべきだと思います。両親に頼るのも一つの案だと思います。
住宅ローンを払うには?2つの対策と注意点

ここでは、今の所はなんとか住宅ローンを払えているが、滞納をしそうな人はどうすべきかを説明します。
すでに返済が不可能な方は、この先の見出し「返済できなくなった時の残された選択肢」をご覧ください。
住宅ローンを滞納してから速やかに以下の方法で対処ができれば、家を手放さずに済む可能性もあります。ただし、全ての人が家を残せるわけではないので、注意が必要です。
住宅ローンを払うための2つの方法
- 対策1.金融機関に減額やリスケジュールを相談
- 対策2.住宅ローンの借り換え
それぞれについて詳しく解説していきます。
対策1.金融機関に減額やリスケジュールを相談

「金融機関に相談はできない」と勘違いしてる人も多いですがそんなことはありません。
まだ早い段階なら、ローンのリスケジュールによる返済計画の見直しや、支払いを遅らせることが可能です。
そのため、ローンを滞納してしまう前に、一刻も早く金融機関に相談しましょう。
信用のためにも、滞納をしてからではなく滞納する前に連絡をするのが大切です。
その際、今後の返済の予定などを聞かれるので、しっかりと説明できるようにしておきましょう。
対策2.住宅ローンの借り換え

「現時点では払えているけれども住宅ローンの返済が家計を圧迫してきて払えなくなりそう」
このような場合、今よりも金利の低い住宅ローンに借り換えることでなんとか払えるようになるケースがあります。
例えば金利が下がっている状態であれば、借り換えで月々のローン返済を少なくできる可能性があります。
借り換えするだけでは個人の信用が落ちることはないので、借り換えが可能であればいい方法といえます。
ただし、月々の返済が少なくなるとはいっても1~2万円程度だと思っておくのが無難です。
【借り換えが最適解でないケース】

- 1~2万円程度の減額では払えない
- 収入減のため希望額の借り換えができない
このような場合には、借り換えで住宅ローン問題は解決できません。
「もう少し先なら払える」そのような方は方法1の金融機関に相談が良いでしょう。
解決方法と勘違いされる「賃貸化」に注意
住宅ローンが払えない際に、今の家を賃貸にし、自分は今より家賃が安い家に住むことで負担を減らす方法もあります。
しかしこれには次のようなリスクが伴います。
賃貸に出す場合に想定されるリスク
- 借り手が見つからないと負担だけが増える
- 自分が戻りたいタイミングで借主に退去してもらえない
- 金融機関に許可を得ずに貸し出した場合、ローンの一括返済を求められる可能性がある
イエトク編集部としては、正直、賃貸に出すのは現実的ではなく、おすすめしません。
病気や失業などのやむを得ない理由なら、「団信」が利用できる可能性あり
一般に住宅ローンを借りる場合、金融機関の多くでは団体信用生命保険(団信)への加入を条件としています。
そのため、以下のような場合は、収入が激減することへの保障として、残りの住宅ローンの返済が免除となります。
住宅ローンが全額弁済になるケース
- 団体信用生命保険に加入……住宅ローンの名義人が死亡した際や高度障害状態になった
- 3大疾病付機構団信に加入……死亡・高度障害に加え、ガン・急性心筋梗塞・脳卒中などの3大疾病が原因で一定の要件に該当した場合
ただし、団信の適用要件にならない場合はローンの返済は難しいので、家は手放すことを考えなくてはなりません。
住宅ローンが払えないとどうなる?住めるのはいつまで?
住宅ローンが払えず滞納を続けた場合、最終的には家が差し押さえられ「競売」に掛けられてしまいます。
競売とは
債務者が住宅ローンや不動産を担保に借り入れたお金の返済ができなくなった際に、債権者が抵当権を行使することで不動産を差し押さえ、強制的に売却する方法。 オークション形式になるが、競売では入札は1人1回のため値段はつり上がらず、市場取引価格より低い価格で売られてしまうことが特徴。
つまり、滞納をしてから1年半ほどで、家を退去しなければならなくなってしまうのです。
順序 | 起きること | 滞納からの期間 |
---|---|---|
銀行からの支払い請求 | ||
督促状・催告書が届く | ||
期限の利益喪失通知・代位弁済通知 | ||
競売開始決定通知・執行官の訪問 | ||
入札期間通知書が届く | ||
開札 | ||
引き渡し命令(立ち退き) |
「期限の利益喪失通知」のタイミングで、分割による返済ができなくなります(※一括請求)。
競売になると、次のような問題が発生します。そのため、競売という事態は回避すべきでしょう。
競売した後に起こること
- 周囲に差し押さえられたことが知られる
- 競売では任意売却よりも安価に売却される傾向がある
- 競売後に残る住宅ローンは原則一括返済しなければならない
- 引っ越し費用は自費負担となる
返済できなくなった時の残された選択肢

どうしても住宅ローンが払えなくなった場合、「売却(または任意売却)」か「債務整理(自己破産)」のいずれかの手段を選択する必要があります。
手段1.売却または任意売却をする
これは、家を売却して住宅ローンを返済する方法です。そして、アンダーローンかオーバーローンかによって、選択する売却方法が異なります。
住宅ローンの残高が家の売却価格より低く(アンダーローン)、かつまだ代位弁済通知が来ていないのであれば、通常の市場に出して売却が可能です。
ローン残債が少なそうだと思ったら、まずは査定に出して、家の売却価格がいくらになりそうかを確かめましょう。
※査定について詳しく知りたい方は「不動産売却に査定はなぜ必要?失敗しない査定の方法・手続きとは 」の記事をご覧ください
住宅ローン残高が家の売却価格より高い場合(オーバーローン)は、「任意売却」という特別な売却方法をとる必要があります。
オーバーローンの場合は「任意売却」をしなくてはならない
任意売却とは
不動産を売却してもローンが残ってしまう場合、債権者に売却の許可をもらって一般市場で売却を行うこと。ローン残債が残る場合は、任意売却でないと売却ができない。
任意売却をせず住宅ローンの滞納を続けてしまうと、家を差し押さえられ競売に掛けられてしまいます。
競売になると相場の6~7割程度の価格でしか売れず、さらに売却後に残った住宅ローンは一括返済をしなければなりません。
返済のしやすさを考えると、分割返済も可能で相場で売却できる任意売却はよい解決策でしょう。
ただし任意売却ができる期間は決まっており、遅くなるほど任意売却の難易度が上がるので、なるべく早く相談が必要です。
また、債権者が同意しなければ、任意売却をすることはできません。
- アンダーローン=通常の売却
- 住宅ローン残高<家の売却価格
- オーバーローン=任意売却
- 住宅ローン残高>家の売却価格
滞納からの期間 | タイミング | 詳細 |
---|---|---|
督促状・催告書が届く | この時期であれば金融機関との相談でスムーズに任意売却が可能 | |
期限の利益喪失通知・代位弁済通知 | 差し押さえを回避できる最後のチャンス | |
競売開始決定通知 | 債権者全員の許可をもらい、競売を取り下げて任意売却をしなければならないためかなり不利 | |
入札期間通知書が届く | 開札日前日までなら法的には任意売却は可能だが難易度が高い |
売却ならリースバックという方法で住み続けることができる
リースバックとは、売却した自分の家を借りて賃貸として住み続ける方法です。リースバックには、メリットもデメリットもあります。
リースバックのメリット・デメリット
- メリット
- 将来的に買戻しが可能で、売却したことも周囲にばれることがない
- デメリット
- 買戻しが不可能な場合は手放さなければならない
リースバックは必ずできるわけではないですが、引っ越さずに住み続けたいなら売却時に忘れずに相談してください。
手段2.自己破産を行う
自己破産とは、家を含む財産を処分することで借金を法的になくす方法です。
借金をなしにできる自己破産ですが、デメリットも多々あります。【自己破産のデメリット】
- 会社に自己破産したことが知られてしまう
- 原則20万円以上の財産は差し押さえられる
- 家を残すことはできない
- 職種によっては辞めなければならない
- 借り入れ先によるが、概ね7~10年間、新たに借金が組めない
- 連帯保証人に返済請求がいってしまう
もっとも大きなデメリットは家を残すことができないという点です。
すでに住宅ローンを完済している場合、「管財事件」となり、破産管財人によって家を差し押さえられてしまいます。
対して住宅ローンが残っている場合、家の資産価値がないと判断され、差し押さえる財産がないときの手続きである「同時廃止事件」となることがあります。
しかし、住宅ローンの債権者である金融機関により抵当権を行使され、家は処分されてしまいます。そして多くの場合、競売による売却が行われます。
そもそも住宅ローンの債権者である金融機関は担保権というものがあり、自己破産に関係なく、優先的に担保となっている家を競売にかけることが可能です(別除権)。
この点、債務整理の中でも個人再生であれば、「住宅ローン特則」という制度によって家を残すことが可能です。
ただし、住宅ローン特則を利用する場合、住宅ローンの支払いは続けなければならず、しかも他の借金についても(一定額に減額されるとはいえ)返済をする必要があります。
住宅ローンが払えないときの「3つのNG行動」

住宅ローンが払えないとき、その状況からなんとか抜け出そうと間違った行動をとってしまう人がいます。
住宅ローンが払えない場合、絶対にやってはいけない(考えるべきではない)ことは、次に挙げる3つです。その理由を説明しましょう。
3つのNG行動
- キャッシングやカードローンを利用する
- 夜逃げをする
- 生活保護を当てにする
キャッシングやカードローンを利用すると多重債務となり、さらに自分の首を絞める
住宅ローンを返済するために、キャッシングやカードローンを利用して多重債務(自転車操業状態)になってしまうと、借金が膨れ上がってしまいます。
キャッシングやカードローンは住宅ローンよりも金利が高いため、一時しのぎにしかなりません。
数か月後に収入があり、返済のめどが立つ方以外にはおすすめしません。
夜逃げはデメリットしかないので、絶対にしない
以下に挙げるように、夜逃げにはデメリットしかありません。自己破産や任意売却をした方がきちんとリスタートすることができます。
夜逃げのデメリット
- 定職につくことができない
- 借金は減らないどころか延滞分がさらに増える
- 連帯保証人に迷惑が掛かる
- 健康保険証が使えない
しかも、夜逃げをしてしまうと、精神的にもかなりすり減ってしまいます。
そのため、夜逃げをすることを考えるのなら、任意売却や自己破産といった法律で許された解決策を選びましょう。
生活保護は家を売らないと原則受けられない
「いやいや、まだ生活保護という手がある!」と考えるのは、大きな勘違いです。
生活保護費は税金から出ているため、住宅ローンを返済中の人に生活保護が支給されれば、税金を使って資産形成をすることになります。
そのため、住宅ローン返済中の人が生活保護を受けようと思うなら、家を売るしかありません。
まとめ:住宅ローンが払えないなら、金融機関や不動産会社へ相談を!
まとめ
- 住宅ローンを滞納しそうな人は、金融機関への相談や住宅ローンの借り換えを検討する
- 住宅ローンが払えなくなった場合、債務整理(自己破産)か売却(または任意売却)を検討する
- 住宅ローンの滞納を続けた場合、最終的には家が差し押えられ、「競売」に掛けられる
もしまだ住宅ローンが払えている状態であれば、今すぐにでもローン借り入れ先の金融機関に相談に行ってください。
住宅ローンの支払いを滞納し始めてしまっているのであれば、なるべく早く任意売却の相談を始めてください。
任意売却なら市場価格で売ることが可能です。
そして、任意売却をするのであれば、その不動産がどれくらいの価値を有しているのかを事前に知っておくことが重要。
そこで役に立つのが、不動産の「一括査定サイト」です。
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最後になりますが、何度もお伝えしているとおり、住宅ローンは、相談が遅くなるほど解決策が絞られてしまいます。
とにかくまずは金融機関に相談をするようにしてください。