宅建士監修!マンションが売れない4つの理由と対策法|最終手段とは?
「マンションを売り出したけど、なかなか売れない…」
マンションを売却している人の多くの人は、こんな悩みを抱えているかと思います。
実は、売れないマンションには、いくつかの共通した理由があるのです。
それらの理由をひとつずつ調べ、解消していくことが、早期売却の近道になります。
この記事では、マンションが売れない理由と、具体的な解決策についてご紹介いたします。
目次
マンションが売れるまでの平均売却期間は?
まずは、一般的なマンションが売れるまでの期間を知っておきましょう。
イエトク編集部が、マンションを売却した人に独自に実施したアンケートのグラフを用意しました。以下をご覧ください。

マンションを売り出した場合、約7割が半年以内に売れている一方で、約3割が半年以上売れ残っていることがわかります。
事情があるかもしれませんが、1年経っても売れないマンションが1割程度あることも事実です。
長期間売り出されているマンションは、「売れ残り」感が強くなってしまい、さらに売りづらくなってしまう傾向もあるので、注意が必要です。
マンションが売れない4つの理由とその解説?

なかなか売れないマンションの特徴を見てみると、4つの共通している理由があります。
ここからは、売れないマンションの特徴や原因を見ていきましょう。
理由1:相場よりも売り出し価格が高くても売れない
単刀直入に、相場より「価格が高い」ということです。
同じマンション内や近隣のマンションと比較して、買主から見て「高い」印象を与えてしまっているのです。
「売りたい額」や、不動産会社の査定における「売れるはずの額」が、購入検討者から見て相場より著しく高い場合、マンションが売れ残りやすくなります。
また、「どうせ、値引き要請があるだろうから、高めにしておこう」と考えて、売り出し価格を高めにしたため、購入の検討対象から外されてしまうケースもあります。
理由2:維持費が高くて売れない
マンションの購入希望者は、マンション自体の価格以外に、維持管理費用である共益費や管理費、修繕積立金などの費用負担も考慮しています。
特に、低価格マンションを求めている世帯は、月々の支払いを気にしていることも多いのです。
マンションの価格が安くても、維持管理費が高い場合は、購入検討者が一気に絞られて少なくなってしまいます。
理由3:内覧対策ができていないため売れない
マンションを売り出した後、購入検討者は実際の部屋の状況を確認するために内覧をします。
居みながら売り出す場合は、購入検討者の訪問日時を調整する必要があります。
売主が忙し過ぎると、内覧の訪問要望に応えることができず、せっかくの機会を逃してしまうことも。
また、せっかく内覧に来ても、部屋が汚れている、破損した箇所が放置されたまま、などマンションの印象を落としてしまうケースや、売り主の応対で印象を悪くし、購入を遠慮してしまうケースも少なくありません。
理由4:不動産会社の営業活動、コミュニケーション不足で売れない
不動産会社に売却を依頼した場合、契約形態によって定期的に状況報告をすることになっています。
しかし、それがうまく機能していない場合もあります。
売り出したけど放置したまま、もしくは売主と打ち合わせがしっかりできていないために販売活動のポイントにずれが生じ、広告宣伝効果が薄くなっていることが考えられます。
あるいは、マンションの売り出し後、同じマンション内や、近隣に似たマンションが売り出された場合など、ライバル物件の影響を受けてしまうことも。
こういった際、不動産会社とスムーズな情報交換ができていないと、相場からかけ離れた価格の広告を出し続けたり、問い合わせがあっても、その後の商談に至らないケースがあります。
マンションが売れない時はどうすればいいの?対策方法は?

これらの状況に陥っている時は、速やかな対策が必要です。
いったいどのようにすればいいのでしょうか。
まずは、以下のことを検討してみましょう。
- 価格設定を見直す(長所・短所をつかむ)
- 内覧の対策をする(長所を伸ばす、短所を補う)
- 販売方針を変更する(不動産会社を変更する)
- それでもダメなら買取も検討する
1:価格設定を見直す(長所・短所をつかむ)
早期のマンション売却を目指すなら、売り出し価格を見直す必要があります。
単純に値引きすれば良い、ということではありません。
マンションを売り出した当初の価格設定は妥当だったか、再検討してみましょう。
同じマンション内の他の部屋や近隣物件と、下記のポイントを比較します。
マンションの長所と短所を把握することが、適正価格の設定につながります。
- 階数や部屋の広さ
- 駅や近隣施設までの距離・利便性
- 維持管理経費
- 管理会社の品質
- マンションの劣化状況
2:内覧の対策をする(長所を伸ばす、短所を補う)
少しでも高く売りたいなら、内覧時に購入検討者の印象をよくする方法を考えましょう。
例えば、壁紙が傷んでいたらクロスを張り替えておいたり、部屋を片付けて清潔にしておきましょう。
こうして、内覧者がマンションに好印象を抱くようにしておきます。
ただ、高く売りたいという理由から、必要以上にリフォームやメンテナンスをすると、お金を掛けた割に販売価格が上がらないこともあります。
あくまで「内覧の印象を良くするためのリフォーム」という意味合いを見失わないように気をつけましょう。
3:販売方針を変更する(不動産会社を変更する)
マンションが売れない時、販売方針の変更を提案するのは、担当している不動産会社なら当然のこと。
また、近隣物件の動向や売り出し価格を見直すタイミングの方向性を示すのが一般的な不動産会社です。不安や要望があれば遠慮せず相談しましょう。
一方、不動産会社の販売活動が疎かで、売却できそうにない時は注意が必要です。
マンションを売る工夫や説明をせず、「価格を下げるしかない」と勧めてくる不動産会社をパートナーにしておくことは、やめておいた方が無難です。
こういった場合、そもそも、この会社を選ぶきっかけになった査定価格が、本当に妥当だったか疑いましょう。
他社より高い査定価格を提示して媒介契約を勝ち取り、最終的に「売れないから」という理由で大幅に値下げさせるパターンは、不動産売却の失敗談でよくあるものです。
媒介契約の獲得だけを考えている不動産会社には早々に見切りをつけ、あなたのマンションが売れる方法を真剣に考えてくれる不動産会社に依頼しましょう。
4:それでもダメなら買取も検討する
上記の対策をしてもなお、売れないマンションがあることも事実です。
広告宣伝の効果が薄く、購入者が限られるような特殊な事情がある場合、マンション所有者として非常に辛いものがありますが、売却の可能性は著しく低くなります。
売却を急ぐのであれば、買取会社に相談してみましょう。
価格はそれなりに安くなってしまいますが、不要なマンションを持ち続けることで発生する、固定資産税などの費用も計算に入れた上で、一番損失の少ない方法を選びましょう。
関連記事:不動産買取の流れと成功させるための4つのポイント」
それでも売れないなら不動産会社のせいかも!?

不動産会社に、事前に査定をしてもらったはずのマンション。
特別な事情もなく、売り出し後に「売れないので価格を下げましょう」と不動産会社に言われた場合、そもそもその不動産会社は本当に査定価格で売ろうとしていたのか疑問です。
自社の利益のみを優先し、契約後は、販売活動が疎かになる会社も少なからずあるからです。
そのマンションは「囲い込み」されているかも?
不動産会社の商売手口に、「囲い込み」と言われる方法があります。
囲い込みとは、売り主から依頼を受けた物件を他社に紹介せず、自社だけで買主を見つけようとする事を言います。
物件を他社に紹介しないように「囲い込んでしまう」のです。
なぜ?囲い込みが起きる理由
不動産会社は物件を売却した際、売主に成功報酬として仲介手数料を請求することができます。
同様に、買主も自社で見つけることができれば、仲介手数料の請求ができ、売上が2倍になるのです。
売主か買主のどちらか片方を仲介するパターンを「片手仲介」、両者の仲介に入る場合を「両手仲介」といいます。
他社に買主を見つけられてしまうと、仲介手数料の請求が売主にしか出来ません。
よって、「囲い込み」による両手仲介を狙う不動産会社がいるわけです。
売主にとって好条件の買主が早く見つかれば問題ありませんが、ほとんどは囲い込みによって、広告宣伝が十分に行われていなかったり、売却チャンスを逃してしまうことが発生しています。
囲い込みは、不動産会社にとって売主と買い主から手数料の請求が出来るため大きなメリットですが、売主にとってマンションがなかなか売れずに残ってしまうため痛手になります。
マンションがなかなか売れない場合は、「囲い込み」されていないか疑いましょう。
不動産会社から活動の報告を受ける際に、問い合わせ件数以外にも、どのような商談を行ったのか、売れなかった理由など会社名・担当者名と合わせて説明してもらうようにすると良いでしょう。
不動産会社との媒介契約の形態は適切か見直そう
不動産会社の仲介には3つの契約形態があることをご存知でしょうか。
契約形態の説明をしてくれない会社は問題外です。きちんと話を聞くようにしましょう。
契約形態は売主の都合に合わせて決めることが可能で、その種類によって、不動産会社の義務範囲が変わってきます。
事前に知っておきましょう。
3種類の媒介契約の特徴
■売主の自由度が一番高い「一般媒介契約」
一般媒介契約は、複数の不動産会社に仲介の依頼ができます。時間をかけてでも、納得した価格で売りたい場合に有効です。
しかし、各不動産会社から売主への定期的な報告の義務はなく、レインズといわれる不動産流通機構が運営しているネットワークへの登録も任意です。
たくさんの不動産会社に依頼したからと言って、必ずしもその物件の商談機会が増えるわけではありません。
■不動産会社にレインズへの登録と売主への定期報告の義務がある「専任媒介契約」「専属専任媒介契約」
「専属専任媒介契約」は、売主が自分で買主を見つけた場合でも、依頼した不動産会社を通す必要があります。
不動産会社にとっては、両手仲介手数料という売上が確約された美味しい状態。
どの契約形態でも、真面目に販売活動に取り組んでくれる会社もいれば、囲い込みしか頭にない会社もいます。
早く、確実に売りたい場合は、積極的に広告宣伝を行ってくれやすい「専任媒介」「専属専任媒介」で契約した方がよいでしょう。
不動産会社の担当者とは常に情報交換できている?
類似物件が多くあるマンションや、特別な事情があって相場を把握しにくい物件は、会社からの定期報告や営業戦略に関する情報を参考にする必要があります。
契約形態だけではなく、こまめに打ち合わせができて、対応力のある担当者がいる不動産会社を選ぶようにしましょう。
状況報告を重ね、やり取りしていくうちに、売れない理由や近隣で成約に至った物件の情報などを分析しやすくなり、値下げ時期や金額なども決断しやすくなるはずです。
【事例別】マンションが売れない場合の最終手段とは?

ここまで、マンションが売れない理由や対策をご紹介してきました。
他にもさまざまなケースがあります。その例と対策を以下で解説します。
Q.離婚で売却したいのに全然売れない!
A.積極的に内覧や広告対応ができるように早めに準備をしておきましょう。
離婚によってマンションを売却する際にありがちな失敗例として、
「売却理由を近隣に知られたくない」という売主事情のために、
仲介会社が積極的な宣伝できないというパターンがあります。
レインズにも掲載できず、限られた客層にだけ個別に紹介する営業手法になってしまい、内覧件数も少なくなります。
結果、マンションの売却まで時間がかかるように。
可能な限り早めに空室にして、不動産会社が自由に広告宣伝や内覧対応できるようにしておくことが望ましいでしょう。
Q.マンションが売れないとローンが払えない!
A.売却代金でローンを完済できる場合には問題ありません。
ローン残債があっても、売却額と自己資金を合わせて完済できる場合は、問題ありません。
それでもローン完済が難しい場合には、事前に金融機関と協議の上、任意売却といった手法を取る必要が出てきます。
ローンの返済に追われ切羽詰まった状況で売りに出してしまうと、売り出し額を下げるのが難しくなってしまい、結果的に長期の売れ残り物件となるケースも珍しくありません。
まずは金融機関に相談し、適切な指示を仰ぐようにしましょう。
Q.それでも売れないマンションの行く末は?所有権放棄は可能?
A.賃貸物件として貸し出す、あるいは不動産会社に買い取ってもらう方法もあります。
「売れないなら所有権を放棄しよう」と考える方もいるかもしれません。
しかし、マンションの所有権は放棄することができません。
引き続き固定資産税や管理費、修繕積立金を払い続けることになります。
不動産買取会社に買取を依頼したり、リフォームして賃貸に出せるようにし、借主が見つかった後に収益物件として売却を目指す方法もあります。
ただし、マンションにローン残債がある場合、金融機関から一括返済を求められることもあります。
事前に仲介を依頼する不動産業者や金融機関と協議しておくことが重要です。
マンション売成成功のポイントは不動産会社選びにかかっている
初めてマンション売却をしようとしている人を心配にさせる不動産会社は、プロとして失格です。
不動産会社は大手から零細企業までたくさんあります。企業の規模にかかわらず、納得できるマンションの売却ができるかは、担当者の力量によります。
担当者の地域の情報網や提案力によって、その結果は大きく変わります。
売却に関する悩みや不安を遠慮なく相談でき、アドバイスをくれる仲介会社と出会うためにも、以下のような不動産一括査定サイトは大変便利です。
一括査定サイトで、担当者を選ぶときは、以下の点に留意しましょう。
- 査定の根拠がしっかりしているか
- マンションのメリットとデメリットを明確に説明できるか
- あなたの不安や疑問に答えてくれるか
マンション売却成功のポイントは、査定価格の高さに踊らされず、不動産会社選びに気をつけること。
失敗しないマンション売却のために、一括査定サイトを上手く活用しましょう。
監修者
大野 光政(おおの みつまさ)
一級建築士、宅地建物取引士、既存住宅現況検査技術者
大金興業株式会社代表取締役。 建築士事務所、不動産業、建設業などの業務をマルチにこなす一方で、建築や設備に関連する資格を多数所持していることを活かし、2006年から生活情報サイト「All About」の公式ガイドとして建築・リフォームなどの記事を執筆。 一般消費者に建築や不動産に関わる話をわかりやすく親しみやすく伝えることをモットーとしている。 ■Webサイト 大金興業株式会社 https://www.daikin-i.com/