土地売却にかかる費用はいくら?どんな種類がある?
「土地を売るには、どんな費用がかかるの?」
「不動産会社に払う手数料はいくら?税金はいくら?」
土地を売却すると、さまざまな費用がかかります。
例えば、もっとも負担が大きい仲介手数料は、一般的に査定額の「3%+6万円」と言われます。また古家を解体してから売る場合などは、さらに費用がかさみますし、住宅ローン返済による抵当権抹消や期前返済手数料の有無によっても費用は変わります。
本記事では、土地の売却にかかる費用の内訳と、その額の目安を紹介します。
目次
【一覧表】土地売却にかかる費用と支払いタイミング一覧
土地売却の際は、仲介手数料をはじめとして、印紙税、抵当権抹消費用などがかかります。主な費用とその額は、以下の通りです。
名称 | 内容 | 費用 | 支払タイミング |
---|---|---|---|
仲介手数料 | 売却を仲介した不動産業者に支払う手数料 | 売却額の3%+6万円(目安) | 売買契約時 |
抵当権抹消費用 | ローンの残債がある時に支払う手数料 | 登録免許税は1件1000円。司法書士へ支払う手数料が1万円ほど | 土地の抵当権を抹消する時 |
譲渡所得税 | 土地の売却で利益が出たときに支払う税金 | 所有期間が5年以下の場合:30% 所有期間が5年以上の場合:15% |
売却した翌年の3月15日まで |
印紙税 | 不動産売買契約書に添付する収入印紙 | 1億円以下の契約金額で最大3万円 | 売買契約時 |
測量費用 | 隣家との境界があいまいな場合など | 50〜80万円 | 測量時 |
建物解体費 | 古家などを解体する場合に生じる費用 | 木造の場合:1坪あたり3万~5万円程度 | 建物解体時 |
不動産会社へ支払う「仲介手数料」
仲介手数料とは、不動産売買の仲介をする不動産会社に支払う手数料です。
仲介手数料は、宅地建物取引業法等により、その上限額(消費税込み)が以下の通り規定されています。
200万円以下の金額 | 取引額の5%以内(税抜) |
200万円を超え400万円以下の金額 | 取引額の4%以内(税抜) |
400万円を超える金額 | 取引額の3%以内(税抜) |
例えば3000万円で不動産売却が成立した場合、仲介手数料は以下の通り、1,056,000円(消費税込み)が上限となります。
200万円以下の金額 | 200万円×5.5%=110,000円 |
200万円を超え400万円以下の金額 | 200万円×4.4%=88,000円 |
400万円を超える金額 | 2,600万円×3.3%=858,000円 |
合計 | 合計1,056,000円 |
一般には、仲介手数料の計算式は「3%+6万円」とされています。これは上記表で示した上限額の速算式です。
なお、これらはあくまで「上限」の額です。不動産会社によっては、他社と競合している場合など、仲介手数料を割り引く場合もあります。
※仲介手数料についての詳細はこちらへ
不動産売買の仲介手数料の相場は?上限や計算法など知るべき9箇条 | 不動産売却のお悩み解決はイエトク!
ローンの残りがある場合に発生する「抵当権抹消費用」
ローン残債のある土地を売る場合は、「抵当権の抹消」手続きが必要になります。このとき、登記情報を変更するときにかかる登録免許税と、司法書士に支払う手数料の支払いが発生します。
登録免許税は1件につき1,000円。司法書士へ支払う手数料は1万円ほどが目安です。
土地を購入するにあたって多くの人はローンを組みます。そのとき、土地は担保として提供され、抵当権が設定されます。この抵当権を抹消しなければ、勝手に売却することはできないのです。
土地を売却したらどんな税金がかかる?
土地を売却して利益が出た場合は、その利益に対し、所得税と住民税の支払いが発生します。
ここでは、そのほかにかかる印紙税、登録免許税について紹介しましょう。
売買契約時にかかる「印紙税」
印紙税とは、収入印紙にかかるお金です。
不動産売買契約書にはそれぞれ収入印紙を添付しなければなりません。その収入印紙を印紙税として納めます。
印紙税は、契約金額の大きさに応じて次のように課税されます。
契約金額 | 軽減税率(不動産売買契約は軽減の対象) |
---|---|
1万円未満 | 非課税 |
10万円以下のもの | 200円 |
10万円を超え、50万円以下のもの | 200円 |
50万円を超え、100万円以下のもの | 500円 |
100万円を超え、500万円以下のもの | 1,000円 |
500万円を超え、1000万円以下のもの | 5,000円 |
1000万円を超え、5000万円以下のもの | 10,000円 |
5000万円を超え、1億円以下のもの | 30,000円 |
以下省略 | 以下省略 |
印紙税については、こちらの記事でも詳しく解説しています。
そのほか必要に応じてかかる費用
印紙税など必ず生じる費用とは別に、必要に応じて発生する費用もあります。測量費用、建物解体費について、紹介していきます。
土地の測量が必要な場合は測量費用
測量士に土地の測量を行ってもらえば、その費用が生じます。
売却する土地と、その隣の土地との境界があいまいだと、将来隣家とのトラブルを招きかねません。また売却価格の確定をさせた上で取引する場合には土地の面積を詳しく知る必要も。法的な義務はありませんが、測量が行われることがあるのはそのためです。
確定測量には、測量士の目視によりおおまかな測量を行う現況測量と、隣人や行政の立ち会いのもと明確に境界を定める境界確定測量の2つがあります。費用は50〜80万円ほどです。
また、境界を明らかにする境界標がない場合は、新たな境界を設置する費用がかかります。
建物付きの土地を売るときは「建物解体費」も
老朽化が進んだ建物がついている土地の場合、建物を解体し、更地として売りに出したほうが、買手がつきやすいかもしれません。
建物解体費の相場は次の通りです。
- 木造の場合:1坪あたり3万~5万円程度
- 鉄骨造の場合:1坪あたり4万~8万円程度
- 鉄筋コンクリート造の場合:1坪あたり6万~10万円程度
ケース別:古家付き土地の売却費用は?相続の場合は?
続いて、ケース別の土地売却を見てみましょう。ここでは古家付き土地売却と、相続した土地を例として取り上げます。
古家付き土地の場合
古家付きとは、「使用できるレベルにない建物が残っている土地」を意味しています。経過年数は関係なく、使用に耐えないと売主が判断している場合は古家付き、使用できるならば「中古戸建」などの表現になります。
ちなみに「空き家」は、使用レベルは別として、誰も使用していない状態の建物を指します。
古家付き土地の売却の場合
老朽化した建物が残っていると、一般のユーザーの目には「見栄えが悪く」、また購入後に解体費用を負担しなくてはならないことから、買手が見つかりにくいという事情があります。
古家付きが売れないわけではありません。
古家が建ったままであれば、固定資産税などの軽減措置を受けられるというメリットがあります。
特に、一般ユーザーではなく不動産会社をターゲットするなら、さほど敬遠されないでしょう。
逆に、一般ユーザーをターゲットに早く売手を見つけたいなら、古家を解体し更地として売りに出したほうがいいケースもあります。
この場合、売手が解体費用を負担しなければならない点はデメリットになります。また、解体した翌年度からは、固定資産税の軽減措置がなくなるため、売るために時間がかかる場合には、税負担が重くなるのも注意しておかなければいけないところです。
解体費用の目安は前述の通りです。不動産会社に相談すれば、解体業者も紹介してもらえるでしょう。
相続した土地の場合かかる費用は?
相続した土地の場合は、通常の売却手続きのほかに、相続登記手続きが必要になります。その際に、「登録免許税」がかかります。
相続土地の売却は「3年10か月以内」にしよう
両親から相続した土地で、所有権の名義が親のままになっている場合、相続人の名義に変更する必要があります。そのさいに登録免許税がかかります。
相続の場合の登録免許税は、不動産価格の1000分の4(0.4%)です。したがって、例えば3000万円の土地を相続するさいの登録免許税は、以下の通りです。
3000万円×0.004=12万円
なお、相続して3年10カ月以内に売却すると、相続税を取得費に加算できるため税負担が軽くなります。
不動産を売却すると、購入時の金額(取得費)と売却価格の差額(譲渡益)に応じて所得税と住民税が課せられますが、相続税を取得費に加算できれば、譲渡益の額を減らせるのです。
土地売却に関するよくある質問
「土地売却の流れは?」「売却価格の相場は?」など、土地売却についてのよくある質問と回答をまとめました。
Q.土地売却の流れは?
一般的に、土地売却は以下の順に進みます。
- 事前準備(相場の確認、必要書類等の確認)
- 不動産会社選び
- 買い主探し
- 購入申込者の吟味
- 売買契約
- 決済・引き渡し
土地を売却する際の流れについて、詳しくは下記の記事で解説しています。
関連記事:土地売却の流れ|損しないための注意点や不動産の選び方をプロが解説
Q.土地の相場を知るには?
自分の土地がいくらで売れそうなのかを知るには、「不動産一括査定サイト」を利用するのがおすすめです。不動産一括査定サイトとは、複数の不動産会社に対し、一度に査定を依頼できるサイトのことです。
一括査定により算出される価格は、あくまで目安に過ぎません。不動産の担当者が物件を見ることはなく、似た条件の物件が過去どのような価格で取引されたのかなどのデータベースから算出された数字です。それでも、おおよその売却価格を知るには十分です。
なお、自分で相場を調べる方法については、下記の記事で詳しく解説しています。
関連記事:土地売却の相場を簡単に調べる方法と失敗しないためのポイント | 不動産売却のお悩み解決はイエトク!
Q.仲介手数料の値引きはできる?
多くの不動産業者が競合するような人気物件ならば、手数料の値引きを交渉できる可能性はあります。
それでも、仲介手数料がすべて無料になるのは考えにくいものです。
不動産仲介の理想は、買い主と売り主の双方から手数料をとること。これを業界用語で「両手仲介」といいます。
買い主と売り主どちらか一方からのみ手数料をとることを「片手」といいます。不動産会社は当然、2倍の手数料が得られる「両手」を望んでいます。
不動産業者が売主からの仲介手数料を無料としてくれる可能性があるとすれば、「売主から無料という条件で専任媒介をとりつつ、自ら買主を発見し買主から手数料を取る」方法ですが、その場合、なかなか買主が見つからないかもしれません。
まとめ
土地の売却にかかる費用を考える際の、ポイントは以下の通りです。
- 不動産会社へ支払う仲介手数料が最も大きい。売却価格の3%+6万円が目安
- 「印紙税」「登録免許税」などの税金も発生する
- 土地の売却で失敗しないコツは、複数の不動産会社に査定の依頼をすること
一括査定をすると、複数の不動産会社から同時に査定を受けられます。
そのなかから、土地の売却について親身に相談に乗ってくれる不動産会社を見つけることもできるでしょう。
土地売却を思い立ったら、まずは不動産会社に一括査定を依頼してみるのがおすすめです。