土地の売却

2020-11-16

土地売却の相場を簡単に調べる方法と失敗しないためのポイント

不動産は土地と建物に分かれます。

土地は建物と比較すると、時間の経過による影響がほとんどなく、価値の減少が起きにくいという特性があります。 土地は災害や天変地異、あるいは周辺地域の開発状況などの影響を受けることはありますが、基本的には頻繁な価値変動が起きにくいので、安定した資産価値を維持しやすいです。

この記事では不動産の売却に慣れていない方のために、簡単に土地の相場を調べる方法や、土地売却に失敗しないためのポイントなどを解説していきます。

土地の売却をお考えの方はぜひ参考になさってください。

目次

    手軽に土地の相場を知る3つの方法

    まずは、不動産に詳しくない初心者の方でも簡単に土地を売却した場合の相場を調べられる3つの方法をご紹介します。

    • 一括査定サイトを利用する
    • SUUMOなどのポータルサイトを活用する
    • 不動産仲介に訪問査定を依頼する

    (1)一括査定サイトを利用する方法

    一番手軽な方法は不動産の一括査定サイトを利用する方法です。

    だれでも手軽に、しかも無料で不動産会社による査定を受けられ、簡単に土地を売却した場合の相場を知ることができます。

    土地や建物の相場を調べる時、意識すべきは複数の不動産会社に査定をお願いすることです。

    不動産の相場は一定の幅があるので、複数の不動産会社に査定をお願いし、その結果を平均することでより実勢値に近い市場価値を知ることが可能になります。

    SUUMO売却査定は、一度の入力の手間で複数社に査定依頼を出せて大変便利です。

    査定依頼はネット上で出せて、査定方法は訪問査定と机上査定から選択できます。

    初めて依頼を出すときは「机上査定」を選択しましょう。

    机上査定は「簡易査定」とも呼ばれ、対象不動産の基本的なデータを過去の取引例と比較するなどして、簡易的に相場額を算出するものです。

    不動産会社の担当者が実際に現場を訪れるわけではないので、依頼する側も立ち合いなどの手間がかかりません。

    机上査定の結果は最短当日、遅くても数日中にはメールや電話などで受けとれます。


    (2)SUUMO等ポータルサイトを活用する

    一括査定サイトより少し手間はかかりますが、SUUMOなどの不動産ポータルサイトを利用して、自分で土地相場を調べることもできます。

    不動産ポータルサイトには、全国の不動産会社が扱う販売物件が掲載されています。 実際に販売されている物件ですから、とても参考になります。

    物件の種類と所在地、築年数、土地の場合は敷地面積などできるだけ近い条件のものを探し、価格を確認してみましょう。

    ポータルサイトに掲載されている物件は、「売却済みではなく販売中」なので、 高すぎて売れ残っている場合もあります。そのため、複数の似ている条件の物件を参考にすることが大切です。

    (3)不動産仲介に依頼する(訪問査定の依頼)

    より精度の高い売却金額の相場を確認したいなら、不動産会社に訪問査定を依頼し担当者に実際に土地を見てもらいましょう。

    先ほど紹介した一括査定サイトの不動産会社の中から数社を選び、訪問査定をお願いすると便利です。

    訪問査定をすることで、土地や周辺環境の状況をくわしく確認してもらえるので、机上査定よりリアルな土地の相場がわかります。

    いきなり訪問査定の依頼もできますが、できれば机上査定→訪問査定の順で依頼するのがベターです。

    なぜなら、複数不動産会社の机上査定結果を得て、売り主がある程度の相場を知っておくと、訪問査定での査定金額の信ぴょう性を判断しやすくなるからです。

    少し手間・時間をかけて土地の相場を知る方法

    前項では、手軽に土地売却の相場を調べる方法をお伝えしました。

    次に、自分で土地の相場を調べる方法を見ていきます。

    細かく計算して相場を出すことはできますが、必ずしも販売価格とイコールではありませんので参考指標としてご確認ください。

    • 固定資産税評価額を参考にする
    • 相続税路線価を参考にする
    • 地価公示・地価調査を参考にする
    • 取引事例を参考にする

    (1)固定資産税評価額を参考にする

    土地を所有すると、「固定資産税」という税金を、土地のある市区町村に納めます。

    市区町村は土地の価値を「固定資産税評価額」という概念で算出し、そこに一定の税率をかけることで固定資産税の金額を決定しています。

    固定資産税評価額は市場価値とは異なり、あくまでも税金の徴収のために算定されますが、市場価値とも一定の関連性があります。

    固定資産税評価額は、税負担が大きくならないよう、市場価値の7割程度になるように配慮されているので、固定資産税評価額を0.7で割り戻せば土地の相場がわかります。

    「固定資産税評価額÷0.7」≒市場相場(もしくは公示地価)

    固定資産税評価額は、役所から送られてくる固定資産税納税通知書に添付される課税明細書で確認できます。

    土地に関する記載のうち「価格」または「評価額」の欄をチェックしましょう。

    納税通知書が手元にない場合の調べ方

    全国地価マップで固定資産税路線価を調べると、道路一本一本に㎡あたりの価格が載っています。

    相続税路線価と見方は同じです。

    当該敷地に接道している路線価と敷地面積の積(路線価×敷地面積)を求めるとおおよその固定資産税評価額となります。

    (2)相続税路線価を参考にする

    相続税の路線価を基に、土地売却時の相場を調べることもできます。

    路線価は相続税を課税するために国税庁が作成する土地の評価基準で、土地の相場と一定の関連性があります。

    路線価は相続税の負担が大きくならないよう、市場価値の8割程度に設定されているので、路線価を0.8で割ると土地の相場を計算できます。

    「相続税路線価÷0.8」≒市場相場(もしくは公示地価)

    ※都心や人気のエリア(需要が高いエリア)では【相続税路線価÷0.8】より高めで取引されることが多いため、注意してください。

    路線価は国税庁のHPで公開されているほか、税務署や大きな図書館には冊子として設置されています。

    ただ、路線価の図を初めて見る場合、理解が少し難しいので注意してください。

    路線価をチェックするときは、確認したい土地が掲載されているページを開き、その土地が面している主だった道路に注目します。

    たとえば、道路に「380C」と書かれていたら、その道路に面した土地は1㎡あたり38万円という意味です。

    数字の隣のアルファベットや、円や楕円などの記号がありますが、相続税の際に使用するものなので気にしなくてかまいません。

    参考:国税庁

    初見ではわかりにくいと思いますが、数字に着目すれば大丈夫です。

    (3)地価公示・地価調査を参考にする

    国や都道府県の土地評価を参考にして、土地売却時の相場を予測することもできます。

    国土交通省は、公共事業用地の取得の算定基準や、一般の土地取引の指標として「公示地価」を発表しています。

    同じように都道府県も「基準地価」を発表しています。

    公示地価と基準地価は調査時期が異なり、公示地価は毎年4月時点、基準地価は毎年10月時点の土地の評価です。 また、評価基準も少し異なります。

    二つの指標は国土交通省のサイト地価公示都道府県地価調査」で、1㎡あたりの単価として確認できます。

    これらの地価から、近隣住宅の土地の価格を知ることはできますが、あくまで目安としてください。

    (4)取引事例(実勢価格)を参考にする

    実際に取引された過去の取引事例からも、土地の相場を知る際の参考になります。

    取引事例は、国土交通省のサイト「土地総合情報システム」内「不動産取引価格情報検索」でチェックできます。

    不動産取引価格情報検索

    国は土地売買の動向を把握するため、全国の不動産会社に協力を依頼して、売買取引の事例を収集しています。

    具体的には、ネット上で取引事例を公表しているので、土地の相場を知る材料にできます。

    ただし、取引には個々の事情がありますので、所有している土地の相場と乖離が出る可能性があるため、あくまで参考値にとどめてください。

    たとえば、売主側に早く売りたい事情があれば、相場より安く売られているケースもあります。

    プロへ依頼して土地の相場を調べる方法(有料)

    次に、費用をかけて、本格的に土地の相場を確認する方法をお伝えします。

    不動産分野には「不動産鑑定士」という国家資格が存在します。

    不動産会社が行う「査定」は市場価値を算定するのに対して、不動産鑑定士が行うのは「鑑定」です。

    より、精緻に不動産本来の価値を判断するのが不動産鑑定士の職務になります。

    不動産鑑定士の鑑定は、公平性が担保されるため、誰に対しても価値判定の算定根拠として使用できます。

    以下に該当する場合は、不動産鑑定士への依頼をおすすめします。

    • 裁判上で土地の正確な評価を証明しなければならない時
    • 税務署に対して土地の評価を証明しなければならない時
    • 相続時の遺産分割協議において、相続人間で土地の評価が割れている時
    • 離婚の際の財産分与で土地の評価が問題になっている時

    以上のように、高い証明能力を求められたり、争いが生じている相手に土地の正確な価値を証明しなければならなかったりする場面で利用されます。

    ただし、精度の高い鑑定をするためには費用面の出費も伴い、数十万円~数百万円程度の負担が必要です。

    一般的な取引で利用することはほとんどありませんが、土地評価を巡って争いが生じたような場面で役に立つのでぜひ覚えておいてください。

    また実際の売買取引では、買い手側が納得する値段での売買となるので、不動産鑑定士による鑑定金額とは限らないので注意してください。

    土地の相場を自分で調べる時の注意点

    この章では、自分で土地相場を調べる際の注意点についてお伝えします。

    一括査定サイトを利用すると、不動産会社側から査定額を提示されますが、市場で買い手が付くだろうと予想される金額であり、必ずその値段でしも買い手がつくとは限りません。

    また、複数の不動産会社に査定を依頼すると、査定額に開きが出ることもありますが、まったく同じ条件の取引は存在しないので多少のズレは生じます。

    大切なことは、複数の不動産会社から提示される査定額を依頼者側で正しく把握、利用すること。

    各社の査定額を並べて見て、明らかに高すぎたり、低すぎたりして信ぴょう性がないと感じたら、その不動産会社を除外しましょう。

    それ以外の会社が出した査定額の平均を、土地の売却価格の相場と考えるといいでしょう。

    依頼者から仲介契約を取るために高い査定額で興味をひこうとする不動産会社もいるので、注意しましょう。

    土地を相場より高く売るためには?

    基本的に不動産取引の実勢価格は相場通りか、または交渉を経て若干下がることが多く、相場より高く売るとのはかなり難しいです。

    なぜなら、相場より高く売ろうとすれば周辺のライバル物件に価格差で負けてしまうから。

    よほど人気のエリアは別として、基本的には買い手側の「できるだけ安く」という希望に、売り手側が合わせるケースが多いです。

    ただし、周辺に駅が新設されることになるなど、偶然土地の魅力が上がったり、大型ショッピング施設の建築構想が持ち上がったりするなど、環境に変化が生じて売り手が有利になることもあります。

    また、売り主として意識したいのは、土地であれば土地取引に強い不動産会社を味方につけることです。

    不動産会社は、取り扱う業務によっていくつかの分類ができます。

    売買取引の仲介がメイン、賃貸物件の仲介が得意、不動産を買い取って付加価値をつけて再販する、別の利用用途に用いて利益を出すなどです。

    そして、土地を高く売却したいなら、土地の売買仲介が得意な不動産会社に依頼するのがベストです。

    土地取引に強い不動産会社であれば、興味を持ってくれたお客さんの購入意欲を高めるために色々な工夫をしてくれるでしょう。

    たとえば、その土地の魅力を上手に伝えて購入後のイメージを持たせたり、その土地に応じた建物の参考間取り図を掲載したりして、土地の魅力を最大限引き出してくれるため、相場より高く売れる可能性があります。

    まとめ

    この記事では土地の相場を調べる方法について色々と見てきました。

    おすすめは不動産の一括査定サイトを利用して、不動産会社に無料で査定してもらう方法です。

    ポータルサイトで自己調査をすることも可能ですが、物件によって個別の事情があるため実勢価格と差がある可能性もあります。

    都心部や都心部に近い地域などはとくに、価格がわかりにくいので、プロの不動産会社に査定してもらう方が、よりおすすめです。

    不動産会社に頼らず自分で相場を調べる方法もお伝えしましたが、こちらはかなり手間がかかります。

    一括査定サイトは完全無料で手間なく相場を確認できるので、ぜひ活用してみてくださいね。


    監修者

    井上 徹(いのうえ とおる)

    宅地建物取引士・不動産ADR調停人資格・賃貸不動産経営管理士

    不動産業界歴30年以上を誇り、(株)フォーリア代表取締役。
    1999年に資産管理会社である同社を設立し、その後、(株)イエステーション本部の設立参加を経て、現在は(一社)投資不動産流通協会の理事長なども務める。
    売買仲介から賃貸系事業、不動産資産運用のコンサルティングまで幅広く展開。2016年には賃貸系業務報告書作成プログラムの特許を取得。
    ■Webサイト
    株式会社フォーリア
    https://for-real.co.jp/

    ロゴ:家

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