住宅ローン返済中に転勤!売却か賃貸か3つの事例を基に対処法を解説
住宅ローンが残っているのに転勤……控除ってどうなる?
転勤の仕方や持ち家の扱い方によって、「ローン控除停止」や「一括返済」、「金利上昇」といったリスクが発生します。
ここでは、転勤したら「住宅ローンはどうなるのか」と「実例に基づいた3つの対処法」を説明します。
実例に基づいた3つの対処法
誰と転勤先へ行くか | 金利UP | 控除外にされる |
---|---|---|
単身 | × | × |
家族 (家は維持) |
確定 | 確定 |
家族 (家は賃貸) |
確定 | 確定 |
家族 (家は売却) |
- | 見込みアリ |
売却しないと起こりうる5つのこと!
- 住宅ローンの控除が打ち切られ、さらに金利も上がる
- 維持費・管理費が発生する
- 毎年、固定資産税の支払いをする必要がある
- 賃貸に出すと転勤先から住人のクレーム処理をする必要がある
- 賃貸に出すと収益よりも出費の方が多く、赤字になる
目次
転勤になったら住宅ローンはどうなる?単身赴任と家族帯同の選び方
住宅ローンの借入と控除の条件
住宅ローンの借入条件は、「国内居住している」と「居住用不動産である」ことです。
住宅ローン控除(住宅借入金特別控除)とは、簡単に説明をすると「10年間にわたり、住宅ローンの年末時点の残高に対して1%分の税金が控除される」制度です。
住宅ローン控除が受けられる条件
- 新築、または取得の日から6ヶ月以内に住み始め、適用を受ける年の12月31日まで継続して居住していること
- 対象者の所得が3000万円以下
- 住宅の床面積が50㎡以上あり、かつ半分以上が自己の住居に供するもの
- 10年以上にわたり分割して返済する住宅ローンを契約していること
実際にはさらに細かな条件が定められており、新築住宅と中古住宅でも適用の条件が異なります。
詳細は国税庁のホームページでご確認ください。
つまり、「実際にその住宅に住んでいる」ことが住宅ローン借入と控除の条件になります。
居住していなければ控除は適用されなくなり、場合によっては住宅ローンの一括返済を求められることもあります。
転勤でも「単身赴任」であれば住宅ローン控除を受けられる

住宅ローンの大原則として「居住者」である必要があります。
転勤というやむを得ない理由ならローン控除を受けられる
転勤などのやむを得ない理由で「居住者」でなくなった場合には、一定の要件を満たせば住宅ローン控除を受けることが可能です。
転勤の仕方 | 住宅ローン控除の扱い |
---|---|
単身赴任 | 将来的に戻る場合のみ、継続して受けられる。 |
家族帯同 | 誰も住んでいないため継続不可能。 ただし、住宅ローン控除期間中に戻れば、残りの期間分の控除は受けられる。 ※住宅ローンは一括返済が求められる可能性もある。 |
海外への転勤は控除が受けられない場合が多い
ただし、海外赴任の場合は条件が変わるので注意が必要です。
【海外赴任のときの注意】
- 海外への単身赴任である場合は、ほとんどの場合控除が受けられない。※1
- 家族で海外赴任の場合、銀行へ相談しないとローンの一括返済を求められる。
※1 平成28年3月31日以前に住宅を取得した場合
家屋の所有者が、転勤、転地療養その他のやむを得ない事情により、配偶者、扶養親族その他生計を一にする親族と日常の起居を共にしない場合において、その住宅の取得等の日から6か月以内にその家屋にこれらの親族が入居し、その後も引き続き居住しており、当該やむを得ない事情が解消した後はその家屋の所有者が共にその家屋に居住することと認められるときは、その家屋の所有者が入居し、その後もその家屋の所有者が引き続き居住しているものとして取り扱われ、この特別控除等の適用を受けることができます。
この取扱いは、転勤先が国内・国外のいずれにおいても同様です。ただし、平成28年3月31日以前に住宅の取得等をした場合には、この制度の適用対象者が「居住者」に限られていたため、転勤先が国外で「非居住者」に該当することとなる場合、この取扱いの適用はありません。
引用元:国税庁 No.1234 転勤と住宅借入金等特別控除等2-(1)より
事例(1).単身赴任
事例(1)
- 居住年数:新居購入から1年で転勤
- 家族構成:妻子あり
- 単身赴任:可能
上記の条件に当てはまる方は、妻子が住んでいる住居で住宅ローン控除を受けることは可能です。
住民票は移動してもしなくても、住宅ローン控除の額は変わりません。また、適用期間が短縮される心配もありません。
単身赴任できない!転勤が決まったら住宅ローン中の家は維持?賃貸?売却?
転勤先に家族全員で行く場合、残る家には住宅ローン控除は適用されません。
「維持」「賃貸」「売却」のうちの3つから選ばなくてはなりません。
ローンのある家から離れて転勤するときの3つの選択肢
詳細 | オススメな人 | |
---|---|---|
維持 | 空き家にして維持する |
|
賃貸 | 転勤している期間、他人に貸し出す |
|
売却 | もう戻らないものとして手放す |
|
フリーローンになっても維持できるなら空き家管理に
維持管理を選ぶ場合、住宅ローンは以下のようになります。
維持管理の場合の住宅ローン
- フリーローンになり、金利が上がる可能性がある
- 転勤期間中、ローン控除は受けられない
また、会社から家賃負担がなければローンと転勤先の家賃の二重負担になることや、家の管理を定期的にする必要があるので、家計への負担は大きくなります。
事例(2).単身赴任ができない場合
事例(2)
- 居住年数:新居購入から1年で転勤
- 家族構成:妻子あり
- 単身赴任:不可能
- 戻る予定:あり
以上の条件に当てはまる場合、戻る予定があるなら賃貸にすることは可能です。
ローンを一括返済する必要も、売却する必要もありません。
原則では賃貸となったときには住宅ローンの対象から外れますが、転勤というやむを得ない事情であるなら賃貸として住宅ローンを組んでおくことが可能です。
また、転勤が終わりもとの住居に戻った際は、再び住宅ローン控除を受けることが可能です。
ローン金利が上がっても家賃収入で相殺できるなら賃貸
賃貸を選ぶ場合、住宅ローンは以下のようになります。
賃貸の場合の住宅ローン
- アパートローンになり金利が上がる
- 転勤・賃貸期間中、ローン控除は受けられない
- 無断で賃貸に出すと一括返済をすることになる
また、賃貸にするなら一定期間だけの「定期借家契約」にしないと戻ってきたときに退去してもらうことが難しくなります。
「退去が前提なので家賃を高くできない」「予定より早く戻ってきても契約解除ができない」というデメリットもあります。
家賃収入が得られるメリットはありますが、賃貸にはさらに以下のようなデメリットもあるので注意が必要です。
賃貸のデメリット
- 他人が自分の家を好き放題使う
- 確定申告の手間がある
- 家に不備があった場合の対応など、「貸主」としての責任が伴う
お金にゆとりがないという場合は売却の検討をオススメします。マンションを賃貸に出したとしても利益は得にくいことが多いからです。
住宅ローンの負担が厳しい人は売却を選ぶ
賃貸や維持管理の場合の負担が大きいときは、売却をしてローンの負担をなくすという方法があります。
ただし、売却にもデメリットがあります。
売却のデメリット
- 売った家を買い戻すことは難しい
- 売却代金で住宅ローンが完済できないとそもそも売却ができない
- 年齢によっては新しくローンが組めず、もう一度持ち家をもつのが難しい
売却をするうえでもっとも重要なのは「いかに高く売るか」です。
場合によっては500万円も損をすることもあるので、高く売るための対処法が必要です。
事例(3).2世帯住宅の場合
事例(3)
- 居住年数:4年
- 家族構成:妻子ありの2世帯住宅
- 単身赴任:不可能
- 戻る予定:あり
以上のようなケースで、例えば親はそのままマイホームに残り、親を除く夫婦と子どもが引っ越す場合には本来のマイホームで住宅ローンの控除を受け続けることは可能です。
やむを得ない事情だと、住宅ローンに関しては融通が利く場合が多いようです。
まとめ
①住宅ローン控除が継続されるケース
継続できる |
|
継続されない |
|
②単身赴任と家族帯同の選び方
単身赴任 |
|
家族帯同 |
|
③維持・賃貸・売却の選び方
維持 |
|
賃貸 |
|
売却 |
|
④売却してもローンが完済できない場合
ローンが完済できるかどうかが不安な人は「一括査定」の利用がオススメ。
一括査定のメリット
- 無料で利用できる
- 複数社の査定結果を簡単に比較できる
- 査定額が500万円UPした事例あり