住宅ローンを滞納するとブラックリストに載る?3つの問題点と対処法
「住宅ローンを滞納してしまった...これからどうなるの?」
住宅ローンを滞納し続けると、家は「差し押さえ」られ競売にかけられてしまいます。
しかし滞納をしてすぐに差し押さえを受けるわけではありません。
この記事では、住宅ローンを滞納すると起こることや、その対処法について説明していきます。
目次
住宅ローンを滞納すると競売に?3つの問題点
離婚や病気、他の金銭的な問題で住宅ローンが払えない、なんて人はいませんか?住宅ローンを滞納し続けると最終的に競売にかけられてしまいます。競売とはあなたの物件が他者に入札され、一番高額で入札した落札者の物になるというものです。
また、住宅ローンの滞納はいろいろな方面へ影響が出てしまいます。実際に住宅ローンを滞納してしまったらどうすればいいのかこの項目では説明します。
1.住宅ローンを滞納することで財産が差し押さえられる?
住宅ローンを滞納すると銀行側は支払いを催促した後、最終的に法的手段を取って債権回収を図ります。具体的には住宅ローンの融資をする際、担保に取っていた自宅を差し押さえて競売にかけるのです。
通常住宅ローンを滞納してから3ヶ月で競売の準備を行い、6ヶ月程度で銀行側は競売手続きに踏み切り、自宅を差し押さえます。自宅を差し押さえられてしまうと自由に処分できなくなり、競売手続きが進むと最終的に不動産を処分されてしまいます。そのため、債務者は自宅を失うことになり、新しい住居に引っ越さなければなりません。
住宅ローンを滞納して自宅を差し押さえられるということは債務者にとって重大なことなのです。なので、競売の申し立てをして自宅を差し押さえる前に任意売却を持ちかける債権者も少なくありません。
任意売却とは売主、買主、債権者の合意で売買価格を決めて行う不動産取引のことです。任意売却は債権者にとってもメリットが大きいので、まずはこの方法で手続きすることを債務者に促します。
住宅ローン滞納から任意売却までの流れについて説明します。まず、債権者は滞納が始まってから3ヶ月間は電話や書面上で支払いを催促します。この時点では残債の一括返済を請求されることはありません。滞納分を支払えば、その後は通常どおり分割返済することが可能です。
しかし、滞納がその後も続けば今度は期限の利益喪失に関する予告通知をし、一般的に6回の滞納が続くと期限の利益の喪失となってしまいます。同時に、住宅ローンの保証会社が代位弁済の手続きを取り(代位弁済通知が届く)、債権が銀行から保証会社に移転した後、保証会社から残債の一括返済を求められるのです。
もし残債を一括返済しない場合、競売によって強制的に回収するところですが、その前に債権者である保証会社は任意売却を持ちかける場合があります。住宅ローンを滞納した場合は自宅を差し押さえられる前に、任意売却することで話がまとまる場合も少なくありません。
初めにいっておくと任意売却はメリットもあり検討する価値があります。また、任意売却をする際は自分の家の正確な相場を知っておくと話がスムーズに進みます。正確な値段を調べるために一括査定を活用しましょう。
- 住宅ローンを滞納すると最終的に競売にかけられる
- 銀行側が競売に踏み切るまで6ヶ月
- 任意売却はメリットがあるため検討した方がよい
2.住宅ローンの滞納は連帯保証人にも迷惑がかかる!
収入合算によって審査を受けるとき、ペアローンや親子ローンを利用するとき、年収や勤続年数に不安があるときなど、連帯保証人を用意することで住宅ローンの融資を受けられる場合があります。
連帯保証人とは、債務者が負う住宅ローン債務を連帯して負担する保証人のことです。もし債務者の支払いが滞った場合、連帯保証人は無条件で返済しなければなりません。通常の保証人の場合、債権者から請求を受けたとき、まず主債務者に請求することを要求したり、主債務者の財産に強制執行することを要求したりできます。
しかし、連帯保証人にはそのような権利はなく、保証人よりも責任が重くなっているのです。そして、連帯保証人がいる場合に債務者が住宅ローンを滞納すると、債務者だけでなく連帯保証人にも支払いの催促や催告がされます。
また、任意売却や競売の手続き後、残債がある場合、連帯保証人は債権者から請求を受け、場合によっては財産を差し押さえられてしまう可能性も出てくるのです。さらに、残債の額が大きいと連帯保証人も返済が難しくなり、債務整理をしなければならない場合も出てくるでしょう。
債務整理をするとその履歴が信用情報に登録されてしまい、5年程度ローンやクレジットカードを利用できなくなるというデメリットがあります。住宅ローンを滞納すると、連帯保証人にいろいろ迷惑がかかってしまうのです。
連帯保証人とのトラブルで多く挙げられるのが離婚です。夫が住宅ローンの主債務者となり連帯保証人が妻というケースでは、もちろん離婚した連帯保証人の妻にも催告の通知は届きます。離婚をするときに住宅ローンの話をまとめておかないといつのまにか催告状がきた、なんてケースも多いのです。このようなトラブルに巻き込まれないためにも連帯保証人との連携は取るようにしましょう。
- 住宅ローンの滞納は連帯保証人にも責任が発生する
- 連帯保証人の方が保証人より責任が重い
- 離婚で住宅ローンを滞納した場合は要注意
3.住宅ローンを滞納したら自己破産しかない?
住宅ローンを滞納するというとやはり自己破産しなければならないと思っている人が多いようです。
住宅ローンを滞納したら「自己破産」しかない。これは大きな勘違いです。住宅ローンを何ヶ月滞納しているかで対処法は変わってきますが自己破産は最終手段です。なので焦ってはいけません。現状を見直してまずは金融機関などに相談しましょう。
問題点の1でも解説しましたが、代表的な対処法として任意売却があります。任意売却は住宅ローンを滞納して初めて使える対処法です。
これは任意売却自体のデメリットにもなってしまいますが、滞納1~2ヶ月では銀行側がまだ一括で払えるという判断を下して任意売却に踏み切ることができません。目安として3ヶ月滞納すれば任意売却は可能になります。
任意売却のように住宅ローンを滞納してから踏み切れる対処法もあるので焦って自己破産などはまだ考えなくても大丈夫です。
- 住宅ローン滞納=自己破産ではない
- 住宅ローンを滞納しても焦らない
- 任意売却のように滞納してから使える対処法もある
住宅ローンを滞納するとブラックリストに載る?
住宅ローンを滞納していると借り換え・借り入れの開始は難しい
住宅ローンの総返済額を減らす手続きの一つに借り換えがあります。借り換えとは新規の金融機関で融資を受け、その融資金をこれまで利用していた住宅ローンの返済に充てて完済させる手続きをいいます。
残債が1000万円以上あり、返済期間が10年以上残っていて、金利差が1%以上ある場合、総返済額を減らして費用節約できる場合が多いです。しかし、これまで利用している住宅ローンで滞納している場合、借り換えの利用は難しくなります。
借り換えする場合も住宅ローンの融資を受ける場合と同様に審査を受けるのですが、ローンの延滞履歴があると審査に通過できません。銀行側は信用をもとに融資を行っており、延滞はその信用を失う行為です。
信用できない人に対して銀行は融資しないので(いわゆるブラックリストといって信用情報機関に事故情報が載ること)、審査の段階ではねられてしまいます。住宅ローンの滞納は借り換えを利用できなくなる状態になるということを認識しておきましょう。
また、住宅ローンを滞納している場合、カードローンやキャッシングの借り入れも基本的にできません。カードローンやキャッシングを利用する場合、融資の審査を受けるのですが、その際に申込者の信用情報を閲覧します。
信用情報とは個人の属性、借入歴、返済状況などが登録されている情報のことです。住宅ローンの滞納があると信用情報に延滞歴として登録されてしまいます。延滞歴がある人は基本的に融資の審査を通過できません。住宅ローンの滞納は、カードローンやキャッシングが利用できなくなるデメリットもあるのです。
- 住宅ローンの延滞履歴があると借り換えはできなくなる
- 銀行は信用情報をもとに審査をする
- 信用情報を傷つけないためにも住宅ローンの滞納は避けた方がいい
住宅ローンを滞納したままで離婚することは不可能?
夫婦で自宅を購入する際に住宅ローンの借り入れをする場合、おもな収入源が夫の給料である場合、夫が主債務者になることが多いでしょう。しかし、夫婦が共働きである場合は収入合算で借り入れしたり、ペアローンを利用したりすることも少なくありません。
このような場合は、連帯債務者か、夫婦のどちらか一方が主債務者でもう一方が連帯保証人になっています。そのような契約形態で住宅ローンを組んでいる場合、滞納したまま離婚すると問題が生じます。
例えば、夫婦が連帯債務者である場合、離婚しても夫が住宅ローンを滞納したままだと妻へ請求がされてしまいます。連帯債務はそれぞれ住宅ローンの債務全額を返済する義務があるからです。
また、夫が主債務者で妻が連帯保証人である場合も夫が住宅ローンを滞納した状態が続けば、妻に返済が求められます。連帯債務や連帯保証の状態が継続すれば、妻は住宅ローンの支払い義務を負い続けるので安心して離婚できないでしょう。また滞納分を含めた住宅ローンの残債の支払い方法を夫婦間で決められない場合、離婚手続きが進まなくなります。
さらに離婚して住宅ローン債務者である夫が家を出ると契約違反と銀行側が判断し、一括返済を要求してくることがあります。そのため離婚をしようとしてもできない場合が出てきてしまうのです。
このように住宅ローンを滞納したままで離婚をするといろいろな問題が出てくるので、その対策を取らなければなりません。まず連帯債務や連帯保証の関係が離婚の障害となってしまうのであれば、代わりに連帯債務者や連帯保証人になってくれる人を用意して、連帯債務者や連帯保証人から外してもらう方法が考えられます。
しかし、銀行側としてはこれまでの条件を維持したいので、最低でも外れる人と同じ属性の人でなければ承認しないでしょう。そのような人が身近にいない場合には、この方法は利用できません。次に借り換えをする方法が考えられます。
借り換えをするためには住宅ローンの審査を通過しなければなりません。妻がフルタイムで仕事をしている場合であればまだしも専業主婦やパートの場合は難しくなります。そのため借り換えも現実的な解決方法とはいえないでしょう。
そこで、現実的なのは離婚する際に自宅を任意売却する方法です。任意売却は通常の不動産売買と同じ水準の価格で処分できるので、残債を少なくできます。それによって、離婚後の支払いの負担を大幅に減らすことが可能です。
また、連帯債務や連帯保証の関係も解消できるので、相手の滞納によって支払いの請求をされることもありません。住宅ローンを滞納しているときに離婚を考えているのであれば、任意売却を利用するとよいでしょう。
- 住宅ローンを滞納したまま離婚するとさまざまな問題が生じる
- 連帯債務者や連帯保証人を外す手続きは現実的ではない
- 離婚する場合は任意売却が有効な返済手段の一つ
ボーナス払い分だけ滞納した場合でもデメリットは大きいのか?
住宅ローンの支払い方法の一つにボーナス払いというものがあります。これは勤務先の会社からボーナスをもらえる月のみ、通常の返済額の他、ボーナス分の支払いを上乗せするというものです。
年に2回、ボーナス払いによって返済額が多くなるので、その分、返済期間を短くできたり、総返済額を少なくできたりするメリットがあります。しかし、ボーナスは勤務先の会社の業績によって支給額が変動します。
毎月もらえる基本給のように支給額が固定されているわけではありません。そのため、勤務先の業績が悪くなり、ボーナスが支給されなかった場合は、ボーナス分の支払いが困難になってしまいます。
ボーナス払い分だけ滞納した場合でも、その分を返済しないかぎり、通常の支払いを滞納しているときと同じ扱いを受けます。一定の期間内にボーナス分の支払いができなければ競売にかけられ、自宅を失ってしまうリスクがあるのです。
そのようなことから、住宅ローンを利用する場合、ボーナス払いを選択しない方がよいでしょう。ボーナス払いを選択していて、ボーナス分の支払いができなくなったときの対処法としては、ボーナス払いをやめて、その分を毎月の返済額に上乗せすることが考えられます。
多くの銀行では手数料を支払えば住宅ローンの返済方法が変更できるので、まずはこの方法を利用してみるとよいでしょう。しかし、毎月ギリギリで住宅ローンを組んでいる場合は、ボーナス払い分を上乗せされると返済できなくなってしまいます。このようなときは任意売却を検討するとよいのではないでしょうか。
- ボーナス払いは返済期間を短くするなどメリットがある
- メリットはあるもののボーナスが出なかった場合などは返済が厳しい
- ボーナス払いはメリットもあるが後のことを考えるとしない方がいい
住宅ローンを滞納したときは任意売却
滞納期間別に対処法も異なってきますが早めに行うと有効な方法は任意売却です。
住宅ローンは何ヶ月滞納すると法的処置を取られる?
銀行側は債務者が住宅ローンを滞納し始めてからすぐに法的手段を取るわけではありません。最初の3ヶ月は電話で支払い催促したり、催告書や督促状を送付して支払いを催促したりします。
この期間であれば滞納分を一括で支払えばよいので、それほど大変なことにはなりません。ただ返済日を過ぎてから滞納分を支払った日までの期間に対して遅延損害金が発生します。
遅延損害金とは支払いが遅れたことに対する損害賠償金で、利率は基本的に14%で定められている場合が多いでしょう。遅延損害金は延滞した支払い分の元金にかかってきます。
そのため、元金が8万円で返済日から30日後に延滞分を支払った場合、利率が14%であるとすると、発生する遅延損害金は
となり、この金額を滞納分と一緒に支払う必要があります。
しかし、発生する遅延損害金の額は、それほど高額ではありません。滞納してから3ヶ月程度であれば、あまり心配する必要はないでしょう。
大変なことになるのは、住宅ローンを滞納してから6ヶ月を経過した場合です。この時期になると、銀行は本格的に債権回収手続きを始めます。
債務者に期限の利益喪失に関する予告通知をし、滞納分の支払いがない場合は債権者は契約違反と見なされて期限の利益を喪失します。それと共に代位弁済手続きをした後、銀行に代わって保証会社が債務者に対して住宅ローンの残債を一括請求してくるのです。
もし支払いができない場合は、任意売却か競売で自宅を処分して返済に充てなければなりません。
住宅ローンを滞納してから6ヶ月を経過すると法的手続きを取られ、自宅を失ってしまう場合もあります。そのため、この時期にさしかかった場合、危機感をもって対処しなければなりません。
また、住宅ローンの残債を支払うことができず、任意売却の方法で処理したいと考えている場合、どのくらいから動き始めている必要があるのかというと競売申し立て前であれば理論上は手続き可能です。
ただ、任意売却をするには債権者である銀行の協力が必要です。そのため、滞納してから債務者が不適切な対応を取ってしまった場合は、問題が生じる可能性があります。
銀行が競売を申し立て、自宅を差し押さえられた場合でも開札期日の前日までに差し押さえを取り下げてもらえれば任意売却は可能です。しかし、売主、買主、債権者間で任意売却の話をまとめるにはある程度時間がかかります。ですから、競売の申し立てをされる段階くらいまでには動き始めていたいところでしょう。
住宅ローンを滞納した場合、相談相手は金融機関?それとも不動産会社?
住宅ローンを滞納してしまった場合、基本的に自分一人で解決できるものではありません。専門家の協力が必要不可欠になってきます。
住宅ローンの滞納問題の相談先にはどのような選択肢があるのかというと、銀行、任意売却専門の不動産会社、弁護士や司法書士などの法律専門家などが挙げられます。住宅ローンの返済に回す資金が不足して滞納してしまった場合は、銀行へ相談しましょう。
住宅ローンの返済が厳しくなった理由をしっかり伝えることによって、リスケジュールに応じてもらえる可能性があるからです。リスケジュールとは返済期間を長くしたり、一定の期間金利のみの支払いにしてもらったりする手続きをいいます。
これにより月々の返済額を少なくできるので、返済が可能になる場合があります。しかし、会社をリストラされたりして収入源を失ってしまった場合には、銀行のリスケジュールでは対応できません。
このようなときは自宅を処分して返済することで対応するのも一つの手段です。任意売却は市場価格に近い価格で売却できるので、まずはこの方法を選択することになるでしょう。任意売却の相談は専門の不動産会社にします。
効果的な任意売却をするにはある程度の経験が必要になります。任意売却専門の不動産会社は、毎日任意売却案件を扱っているので経験豊富です。そのため、任意売却専門の不動産会社に相談すれば、理想的な解決ができる可能性は高くなるでしょう。
また、任意売却と同時に債務整理をしなければならなかったり、離婚問題を抱えていたりする場合もあるでしょう。このような場合は法律専門家である弁護士か司法書士が相談先として最適です。
- ローンを滞納した場合まずは金融機関に相談
- 場合によってはリスケジュールに応じてくれる
- 任意売却の相談は専門の不動産会社にする
競売開始決定通知書がきてしまっても任意売却は可能
住宅ローンを滞納したままの状態が続くと、代位弁済によって銀行から債権を取得した保証会社は、自宅を競売にかけます。その後、競売申し立て先の地方裁判所から競売開始決定通知書が債務者のもとに届きます。
この書類が届いた後、本格的に競売手続きが進行していくのです。競売開始決定通知書が債務者のもとに届く前に、保証会社から任意売却の話を持ちかけられることも少なくありません。
任意売却とは売主、買主、債権者の合意で売買価格を決定して不動産を処分する手続きですが、基本的に市場価格に近い価格で売却可能です。そのため、このときに任意売却で手続きをすればよかったと考える人も多いのではないでしょうか。
しかし、競売開始決定通知書がきた後でも、任意売却に手続きを切り替えることは可能です。任意売却をするためには債権者に差し押さえを取り下げてもらわなければなりません。
開札期日の前日までであれば、債権者が単独で差し押さえを取り下げられます。このときまでに手続きを実行できれば、任意売却ができるのです。任意売却の手続きを進めるには数ヶ月程度必要でしょう。ですから、競売開始決定通知書がきたら、なるべく早めに任意売却へ切り替える手続きを進めた方がよいでしょう。
- 裁判所から競売開始決定通知書が届いたら競売はすぐそこ
- 任意売却なら市場価格に近い価格で売却できる
- なるべく早く任意売却にシフトする
まとめ
住宅ローンを滞納してしまうと切羽詰まって早まった手段を取る人もいます。しかし、慌ててはいけません。まずは金融機関にリスケジュールなどができないか相談し、できない場合は任意売却を早めに検討するとよいでしょう。
また、任意売却をスムーズに進めるためにも一括査定を活用しましょう