不動産売却の流れ

2020-11-12

事故物件も売却できる!告知義務って?相場の変動要因と高く売る方法

「事故物件は売却できるのかな?」

事故物件とは、人が住むことを敬遠するような「瑕疵(かし)」がある状態の物件のことです。
例えば、物件内で事件が発生した、孤独死や自殺があった、などが挙げられます。


今回は、このような事故物件の相場やできるだけ高く売却をするための方法を説明していきます。

目次

    事故物件について

    事故物件は法的な定義がないのですが、下記が一般的な不動産業者の出す事故物件の定義です。

    • 殺人
    • 自殺
    • 高齢者の孤独死
    • 津波による床下浸水
    • 火災による一部消失
    • 地震による一部倒壊

    事故物件は基本的に多くの人が購入する際、躊躇するものです。

    また、査定によっては価格が類似物件の半分以下になってしまうことがあります。
    事故物件をできるだけ高く売却したい方はぜひ参考にしてください。

    事故物件に当たる条件

    下記は不動産を購入後、買主が売買契約当時に告知されなければ発見することができずに発生する瑕疵の種類です。

    • 心理的瑕疵
    • 物理的瑕疵
    • 法律的瑕疵
    • 環境的瑕疵

    心理的瑕疵

    心理的瑕疵とは、「一般的に少し見ただけでは気づけないこと」、「住んでみなければわからないこと」など目に見えない不具合です。

    事故物件であることを知らないでその物件を購入した場合、買主が受ける損失は計り知れません。
    そのため、事故物件であることを人が知ったときに抱く心理的嫌悪を瑕疵の一つとして扱っています。

    事故物件を売買する場合、売主(不動産業者)にその旨の告知義務が課されており、心理的瑕疵のない状態で取引ができるようになっています。

    物理的瑕疵

    物理的瑕疵とは、取引対象となる土地や建物の状態や構造に欠陥があることです。

    物理的瑕疵には土地と建物によって少し異なる点があります。

    土地の場合

    • 埋蔵物
    • 汚染
    • 地盤沈下

    建物の場合

    • シロアリ
    • 雨漏り
    • 建物の耐久性

    物理的瑕疵がある物件は心理的瑕疵がある物件と同様、事故物件に当たります。

    法律的瑕疵

    法律的瑕疵とは法律的な条件を満たしていないため、取引した物件を自由に利用できないことです。

    例えば、下記のように購入した土地が建築基準法で定められた条件を満たしていないため、建物を建てられないという場合です。

    • 接道義務
    • 建ペイ率
    • 容積率

    法律的瑕疵がある場合は一般的に事故物件とはいわれません。

    不動産取引で法律的瑕疵が生じた場合、取引を仲介した不動産業者に対して責任を追及していくことになります。

    環境的瑕疵

    環境的瑕疵とは近くに工場などがあり立地条件が極端に悪い場所など不動産を取り巻く環境に問題があることです。

    環境的瑕疵がある場合も心理的瑕疵がある物件と同様に事故物件として扱われる場合があります。

    また、主観によるため、重要事項説明から漏れることもありますが、告知義務があります。

    事故物件でも売却をすることは可能

    事故物件だからといって売却できないということはありません。

    交通の便や周辺環境が良いなどの条件があれば購入希望者が現れる可能性はかなり高いといえます。

    また、事故物件は一般の物件よりも売りにくいことは確かですが、相場より安く取引されるため一定の需要があります。

    事故物件に需要があるのか、相場はどれくらいなのか

    事故物件の中でも部屋内で自殺や死亡事故など人が亡くなった経歴のある物件は、一般的に購入したいと思う人はいないでしょう。

    そのため、事故物件を売却しようとしても需要があるのかという問題が出てきます。

    不動産売買は買主の存在があって初めて成立するので、買い手が見つからなければ売却できません。
    そのようなことから事故物件の売却に苦労している人も多いでしょう。

    しかし、事故物件はまったく需要がないというわけではありません
    不動産の購入希望者はいろいろな基準で物件を選択しているからです。

    例えば、購入費用が多少高くなっても立地条件や住居環境の良さを重視する人もいれば、最低限の生活ができれば購入費用は安い方がいいという人もいます。

    事故物件であるマイナス分を売却価格から差し引けば、買い手を見つけることは可能なのです。

    事故物件の売却に与える影響とは

    建物の種類やその周辺環境によって事故物件の売却に与える影響も変わってきます。

    例えば、工場などが周辺にある事故物件の場合、私生活に悪影響が出てしまう可能性が高いので、売却価格をかなり低く設定しても購入してもらうのは難しいでしょう。

    戸建てを購入する場合、ある程度長期間生活することを予定しているので、対象物件が事故物件であると購入をちゅうちょする人は多いでしょう。

    しかし、中には購入費用の安さに魅力を感じる購入希望者もいるので、売却できる場合もあります。マンションの購入者の中には今後住み替えを予定している人もいます。

    価格設定など売却条件を優遇すれば、事故物件でも購入するという人は少なくありません。
    これらを押さえて事故物件の売却手続きを進めれば、比較的スムーズに処分できるのではないでしょうか。

    しかし、そうはいっても一般の物件よりは買い手を見つけるのに手間はかかります。
    売却物件の事情や条件などについて購入希望者に納得できる説明をしないとなかなか購入してもらえません。

    不動産業者へ売却の仲介をお願いする場合は、事故物件の売却に関して経験豊富で信用できる不動産業者を選ぶことが大切です

    また、事故物件を売却できた場合、どのくらいの価格で購入してもらえるのかということは売主側にとって気になるところです。

    事故物件は一般の物件より安い価格でしか売却できないことはある程度認識していますが、少しでも高い値段で売却できればいいと思っているのも事実でしょう。

    事故物件の売却価格の相場

    事故物件の売却価格は平均で通常価格より20%から30%引きになるのが一般的です。

    事故物件となった事情もさまざまです。
    その他の条件も違うので、値下げが大きくなる場合も少なくなる場合もあります。

    例えば、前の所有者が部屋内で自殺した事故物件が二つあるとしましょう。

    片方の物件は築3年程度で駅から近くの場所にあるのに対し、もう一つの物件は築20年以上で駅から徒歩30分以上のものでは値下げの額も変わってきます。

    前者の物件は条件が良いので、その分、事故物件のマイナス分が抑えられます。
    そのため、値下げの額も20%以下になる場合もありえるでしょう

    これに対して、後者の物件は条件もあまり良くないので、価格設定の際にマイナスの評価を受けます。

    事故物件の心理的瑕疵によるマイナス分と築年数が長くて立地条件が悪いというマイナス分が重なって、値下げの額が30%以上になることも考えられます。

    また、売主側が早く事故物件を売却したいか否かでも価格が変わってきます。

    早く売却したい場合は買い手を早く見つけなければならないので、それだけ売却価格も低くなります。

    一方、売却まで時間をかけても問題ない場合、いろいろな条件を考察しながらじっくり買い手を探せるので、相場より高い価格で売却できる可能性もあるでしょう

    事故物件における事件や事故についての買主への告知義務

    売主や不動産業者は、できれば事故物件である事情を伏せて売却したいと考えます。
    その事情を買主が知らなければスムーズに取引が成立するからです。

    しかし、宅建業法47条では不動産の売買契約を締結するために勧誘する場合、重要事項説明書や契約書に掲げる事項や取引の相手方に重要な影響を及ぼす事項の告知義務が定められています。

    売却対象が事故物件である場合、そのような事情があるなら購入しなかったと考える買主も多いでしょう。

    そのため、取引の相手方に重要な影響を及ぼすので、売主や不動産会社はその事情を告知しなければならないのです。

    事故物件の告知は重要事項説明書、売買契約書の特記事項に記載し、重要事項の説明時に行います。

    前の所有者が自殺した、以前この部屋で殺人事件があったなど、買主が理解できるように告知しなければなりません。

    買主が事故物件の事情を理解できていない状況で契約すると告知義務を果たしていないことになり、売主や不動産業者に責任が生じてしまう可能性があるからです。

    また、告知したことを後に証明できるようにしておくことも大切です。

    そのため、事故物件の事情を記載した重要事項説明書や売買契約書を保管しておく必要があるでしょう

    事故物件の売却の際、もし売主や不動産業者が買主に事故物件であることを告知しなかった場合には、買主側から損害賠償を請求されることになるでしょう。

    裁判所の判例でもこのような場合、買主側に損害賠償請求を認めたものがいくつかあります。買主側が住むことが困難であるなど目的を達成できない場合は契約解除になる場合も考えられます。

    また、事故物件になった事情があってからどのくらいの期間、告知義務があるのかということも問題です。

    宅地建物取引業法の重要事項説明では、告知義務について明確に期限は記されていませんが、おおむね民事裁判の判例に準拠していることが多いです。

    判例の多くは3~10年間ですが、北海道の判例では20年間の告知が必要との判例も出ています。

    事故物件を高く売るにはどうすべきか

    事故物件でも売主側としてはできるだけ高く売りたいと考える人が多いのではないでしょうか。

    通常より安い価格でしか売れない事情があるにせよ、もともとその事故物件もそれなりの価値があったはずです。

    そのため、事故物件として設定する安い価格で売却したくないというのが本音でしょう。

    事故物件を高く売るにはどのようにすればよいのかというと、まずはリフォームすることが考えられます。

    部屋内で亡くなった人が倒れていた床などを取り換えれば、事故物件の事情から生じる心理的瑕疵をある程度緩和でき、効果的だといえます。

    ただ、亡くなった人のにおいは後まで残ってしまうことも少なくありません。

    購入希望者の中には、においが気になって住めないと主張する人もいます。
    そのような場合、特殊清掃業者に依頼して死臭除去をしてもらうとよいでしょう。

    死臭は一般のハウスクリーニングで使用する消臭剤ではしっかり落とせません。
    しかし、特殊清掃業者が使用する消臭剤は強い消毒液が含まれているので、死臭を完全に消すことができます。

    事故物件を高く売るには、限りなく一般の物件に近い状態にしておくことが大切なので、特殊清掃業者に死臭除去してもらうことをおすすめします。

    また、事故物件が高く売れた後も買主との関係に気をつけなければなりません。
    買主側は多くのお金を出したことから、購入した物件に対する要求も高くなります。

    購入後、不具合が起きたと主張してきたり、契約時に聞いた話と違うといってきたりしてトラブルになる可能性も少なくありません。

    契約後、事故物件であることが発覚して裁判になり、売主に対し損害賠償を命じた判決がいくつか出ています。
    また、部屋から異臭がするなどと買主が主張してきてトラブルになったケースもあります。

    事故物件の売却に関するトラブルは法律問題が関わってきます。事故物件を売却する際には弁護士に相談し、問題点を解決しておいた方が安心です。

    まとめ

    • 事故物件は法的な定義がないため不動産業者に相談しましょう。
    • 事故物件でも周辺の利便性が良ければ購入希望者が現れる可能性は高いです。
    • 事故物件を売却する際には購入希望者に必ず必要事項を告知しましょう。

    事故物件の不動産を売却する際には、まず相場がいくらであるか知る必要があります。

    また、売却するにあたって不動産会社に査定を依頼するのがよいでしょう。

    一人で悩まずぜひ一括査定を利用して不動産業者に相談しましょう。

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