「売却が進まない…」違法な不動産業者の囲い込みを防ぐ方法
「売りに出してからけっこうたつのに、全然売れる気配がない…もしかして囲い込み?」
何もしなければ不動産業者の囲い込みに気づくことはできません。
ここでは、不動産業者による囲い込みを防ぐための方法と囲い込みをチェックする方法について説明します。
当てはまる人は要注意!
- 不動産業者に囲い込みをされているかどうか確かめる方法を知らない
- 他の不動産会社に囲い込みをされているかもしれないことを相談しない
この2つのどちらかに当てはまる方は囲い込みについての情報をこの記事で確認してください!
囲い込みを防ぐポイント
No | ポイント | 重要度 |
---|---|---|
1 | 買い手として電話し、囲い込みされていないか確かめる | ★★☆☆☆ |
2 | 一括査定して、信頼のできる不動産会社に囲い込みの相談をする | ★★★★★ |
一括査定って何?
- たった60秒で最大6社の査定額を比べられる
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目次
不動産会社による売却物件の囲い込みとは
売却物件情報の囲い込みによる、不動産業界への影響
物件の「囲い込み」という言葉は、一般の人には聞き慣れないものだと思います。そもそも、この「囲い込み」とはどのようなものなのでしょうか。
「囲い込み」とは、不動産会社が売却物件の情報を他の不動産会社にいっさい出さない、あるいは紹介させないというものです。「物件を囲ってしまう」というところから「囲い込み」といわれています。
この行為は、売主にとって、とても不利益になります。
例えば、A社に売却依頼をしたとします。しかし、囲い込みをすると、A社の客にはもちろん物件情報は公開されますが、他の不動産会社の客には物件情報が紹介されません。
つまり、A社のすぐ近くのB社にその物件を探している客がいても、A社はB社に物件を紹介しない、あるいはさせないというわけです。そうすると、その客が独自でこの売却物件を見つけるほかありません。
こういうケースの場合、B社の立場になった不動産会社は「もう買い手がついてしまったそうですので、他の物件ご紹介します!」と言って、別の物件を紹介することがほとんどです。つまり、売主としては、自身の知らない間にどんどん機会損失をしているのです。
また、売却期間が長引けば、買い替えようと思っていた物件がなくなる、長期販売により市場の鮮度が失われ、値段を下げざるをえなくなる、さらには「買い手がつかないから買取にしましょう」という話を持ちかけられ、考えてもみなかった買取で安く売却せざるをえない状況になることもあります。
このように、売主にとって不利益しかないため、問題なのです。
「こんなこと、本当にあるの?」なんて思う人もいるかと思いますが、以前ニュースでも取り上げられたように、よくあることです。
また、囲い込みは大手の不動産会社に多いという傾向があります。なぜ、大手の不動産会社に多いのでしょうか。実は、それにも理由があります。
まず、他の不動産会社の客に紹介しなくても自社に顧客が多い、ネームバリューがあるので、案内が少なくても売主から不審がられない、営業担当者の歩合の関係などが挙げられます。
もちろん、大手なのでコンプライアンスには注意しており、媒介契約を締結する際のルールにはのっとっています。
その「ルール」というのは「指定流通機構(通称:レインズ)」という不動産業者間でのみ閲覧できる物件情報サイトに、媒介物件を登録することです。
このレインズに登録されている物件は、日本全国の不動産会社が情報を閲覧することができ、また同時に、物件を自社の顧客にも紹介することができます。
つまり、いろんな不動産会社に情報を提供することで、早く、そして適正な価格で不動産を売却することができるという制度が、このレインズなのです。大手の不動産会社では、ほぼ100%このサイトへの登録をしています。そして、このレインズに物件を登録すると、登録証明書が発行されます。
物件を売却するために不動産会社を利用すると、「他の不動産会社にも物件情報は公開していますよ」と言われて、その証明書を渡されると思います。これによって「大手の不動産会社は安心!」と思う売主が大半ですが、ここに大きな落とし穴があるのです。
そう、実際はここからが問題とされている部分なのです。
レインズに登録はしているが、いざ他の不動産会社がその物件に問い合わせを入れると「お話が入っています」と偽り、紹介させてくれないケース。あるいは、レインズへ販売図面の登録もせず、他の不動産会社が図面請求しても送ってこないケース。これが、以前ニュースで取り上げられた部分です。
覆面調査として、ある週刊誌の記者が不動産会社として問い合わせしたところ、「話が入っている」と偽って、情報提供しなかったというのが、囲い込みではもっとも多いケースです。
中には、物件資料の提供や問い合わせには応じるが、いざ案内の予約をしようとすると「話が入った」と言って断るケース、案内の当日になって「鍵の手配ができない」「売主様の都合が悪くなった」といって、ドタキャンをするケースもあります。
レインズ側もそのニュースの後、対策は打ち出しましたが、実際問い合わせに対してどういう対応をするかは、レインズ側ではどうにもできず、結果的には、残念ながら以前と変わっていないのが現状です。
レインズによって、売主にとって早期かつ適正な価格で売却ができるはずが、媒介契約をもっている不動産会社の主導力が強いため、知らない間に多くの機会損失をしてしまうというのが、囲い込みの最大の問題点なのです。
不動産会社との媒介契約と囲い込みの関係
囲い込みをすると不動産会社は2倍の仲介手数料を受け取れる
では、なぜ囲い込みが横行しているのでしょうか。そこには「仲介手数料」が大きく関連してきます。
まず、順を追って説明しましょう。
そもそも「不動産を売却したい!」と思ったら、不動産会社と「媒介契約」というものを結ぶ必要があります。この「媒介契約」には、次の3種類の契約形態があります。
①一般媒介契約
これは一番拘束力の低い媒介契約です。自分で買い手を見つけることも可能で、不動産会社への売却依頼も複数社に行えます。
②専任媒介契約
3種類の媒介契約の中で、中間の拘束力をもつ媒介契約です。自分で買い手を見つけることは可能ですが、不動産会社への売却依頼は1社に限定されます。
③専属専任媒介契約
一番拘束力のある媒介契約です。自分で買い手を見つけた場合でも不動産会社を仲介人とする必要があり、不動産会社への売却依頼は1社に限定されます。
一般的に一番多いのは②の専任媒介契約で、大手の不動産会社は③の専属専任媒介契約を好む傾向があります。逆に、①の一般媒介契約は市場の35%ほどの割合です。
複数社に依頼ができるということは、不動産会社としては他社で決まる可能性があるため、あまり販売に力を入れません。成約しなければ「仲介手数料」が入ってこないからです。
ここで最初の話に戻ります。そう、囲い込みが行われる最大の理由である「仲介手数料」です。仲介をメインとしている不動産会社の収入源は、この「仲介手数料」のみです。これは取引を成立させた際、不動産会社に支払われます。
買主、売主の間に不動産会社が1社であれば、その会社は買主と売主の双方から仲介手数料をもらうことができます。これを不動産用語で「両手」または「両手取引」といいます。
対して、買主と売主が別々の不動産会社で取引を成立(共同仲介)させた場合、おのおの担当する顧客からしか仲介手数料をもらえません。これを「片手」または「片手取引」といいます。
つまり、囲い込みが起きる要因は「仲介手数料を多くもらいたい」「両手にしたい」というところにあるのです。
そもそも、買主と売主とでは利害関係が一致しません。
「安く買いたい」「高く売りたい」という、双方の反する気持ちの折り合いをつけるのが、仲介を行う不動産会社です。
「少し高くても、ここだったらいいな!」「値引きされたけど、こんなに気に入ってくれてるなら!」など、双方にも思いがあります。
それを伝えていくのが、仲介を行う不動産会社の仕事なのです。
本音を言えば、単独仲介の方が買主と売主との折り合いをつけやすいです。なぜかというと、両方と会って話をしている、両方とも大切な顧客であって、双方の気持ちをくみ取り、どちらも納得できるところで話をまとめられるからです。
しかし、共同仲介は片方しか自社の顧客ではないため、交渉が長引く可能性があります。売主側の不動産会社は売主寄り、買主側の不動産会社は買主寄りになります。
話が遠い、交渉が難しい、さらには、不動産会社の業務としても共同仲介の方が面倒というところも、囲い込みが行われる要因の一つなのかもしれません。
自分の不動産が囲い込みされているか確かめる方法
それでは、囲い込みをされているかを確認する、または、囲い込みをしない不動産会社を見つけるためにはどうしたらよいのでしょうか?
その方法はおもに以下のとおりです。
別の不動産会社に頼む
別の不動産会社に頼むことで囲い込みされているかを確認することができます。
例えば、査定のときに複数社に依頼をした場合、媒介契約を結ばなかった不動産会社に一声かけておくというものです。
具体的には、「今回はA社に売却のお願いすることにしたんですが、御社にもお客様がいたらぜひお願いしますね!もし、案内できないなどの理由がある場合には、いつでも連絡してください」と一声かけるとよいでしょう。
ただし、その連絡をしたことを、媒介契約を結んだ会社には絶対に言わないように注意しましょう。もしそれを伝えてしまうと、「この会社は、査定をして売主の連絡先を知ってるから、この会社にだけは紹介をしよう」と考えてしまうため、事実確認ができません。
囲い込みをしない不動産会社をどのように見極めるのかは、非常に難しい問題です。しかし、方法としてはいくつかあります。
チラシが頻繁に入ってくる会社
まず、「この物件を探している人がいます」というチラシが頻繁に入ってくる会社は避けましょう。あれはおとり広告です。この業界では当たり前のことで、業界人なら誰もが知っている虚偽広告です。
問い合わせをすると「そのお客様は決まってしまったのですが、他にも探している人がいるので、ご紹介させてください!」と言われることがほとんどです。そのような手法を使う会社は避けましょう。
大手の不動産会社
次は、大手の不動産会社です。
これはニュースにもなりましたが、大手の不動産会社は囲い込みをしている確率が高いです(※名前は伏せておきます)。
しかも、大手の不動産会社は支店間でも囲い込みをしているところがあります。つまり、同じ会社でも別支店には紹介させないというわけです。
実際にあった例だと、案内の予約まで入れて担当者と何度も話をしていたが、当日に予約が入っていないと言われ、見せてもらえなかったそうです。
また、申し込みがあると言われていたが、一般客のフリをして電話をしたら紹介が可能と言われた、売主の都合が1ヶ月埋まっているなどの理由で案内をさせてもらえないといったケースもあるようです。
ただし、どこの不動産会社も大手の不動産会社を敵に回したくはないので、あまり大きな問題にしないケースがほとんどです。裏を返せば、大手の不動産会社じゃないところに売却依頼を頼むと、大手に対して囲い込みをしないので有効かと思います。
まとめ
- 囲い込みは売主に不利益を与える
- 囲い込みが行われる理由として、買主と売主の双方から仲介手数料を受け取れることが挙げられる
- 囲い込みをされているかを確認する、あるいは囲い込みをしない不動産会社を見つけるには、別の不動産会社に頼む方法が有効