不動産の査定

2020-11-12

誰でもできる!不動産の適正な売却価格の決め方

適正な売却価格を設定しないと、いつまでも不動産が売れないことになってしまいます。
売却価格は「相場」がわかれば、ある程度簡単に決めることができます。

この記事では、適正な相場を知ることができ、スムーズに売れる売却価格の決め方を説明します。

目次

    不動産の売却価格(売り出し価格・売却希望価格)の基本

    不動産売却価格は相場を知ることが重要

    不動産を売却する際に一番気になるのは「いくらで売れるのか?」という点だと思います。

    実は、この不動産の価格というのは、不動産会社ですらハッキリとわからないことが多いのです。なぜなら、「何もかもが同じ条件の中古不動産」というものが、まったく存在しないからです。

    リビングの採光の方角・階数。角部屋・角地・学区など、さまざまな要素が不動産には含まれます。また、同じマンションの、同じ階の、隣り合わせた部屋でも、住んでいた人が毎日掃除をしていたのか否か、タバコを吸っていたのか否かなど、居住者の生活内容によって売れる価格は変わってきます。

    最近では、都心のタワーマンションの南向きの部屋は日当たりがよすぎて暑くなるということで、北向きの部屋の方が高く取引されているということもあります。

    また、政治経済の動向によっても不動産の価格は大きく変動します。特に東京オリンピックの開催が決まって以降首都圏の不動産価格は上昇しており、それにともなって地方都市でも価格が上昇する傾向にあります。

    ではこのように変動する不動産の価格はどのように決まっているかというと、ズバリ、「買主が買う価格が不動産の価格」となります。

    食品などでは、決まった価格に対して消費者がその価値があるのかどうかを判断します。しかし不動産では、売れた価格(消費者の判断)によってその不動産の価格が決まります。

    そのため、5年前には3000万円で売れていたマンションでも、誰かが現在3500万円で買うとそれと似た条件のマンションは、軒並み「3500万円でも売れる」ということになり価格が上昇していきます。もちろん上がるときだけでなく、価格が下がるときも同様です。

    しかし、そのような不動産の価格でも、売るとなったら査定を依頼する前に「だいたいいくらくらいで売れるのだろう?」と気になると思います。

    そういうときは、インターネットや中古住宅の情報誌などから、

    • 立地
    • 築年数
    • 間取り
    • 広さ

    など、自分の所有する不動産と似た物件を探してみましょう。

    売りに出されている不動産は、少なくとも不動産会社が査定して価格を算出したものとなるので、だいたいの相場はわかります。この相場を具体的に知る方法については、後述します。

    また、この相場価格を知ることはとても重要なことです。なぜなら、相場価格はあくまで相場であって、売主の希望価格ではありません。そのため、相場が3000万円であったとしても、売主が3500万円で売りたいと言えば、不動産会社としては3500万円で売りに出します。基本的には売主の希望を優先するからです。

    しかし、そんな物件は売れるわけがありません。結果的には値下げを重ねて、3000万円前後で売れることになるでしょう。

    場合によっては、長期間売れなかったというようなマイナスイメージが先行して、最初から3000万円で売り出すよりも安くなってしまう可能性もあります。

    売主としては、「そういうことはちゃんと言ってほしい」と思うかもしれません。しかし、高く売れると思っていた自宅が、「そんな値段じゃ売れないですよ。」と一蹴されたら、素直に受け入れることができるでしょうか。自分の大切な不動産が、思ったほど価値はないと言われるのは、なかなか受け入れられるものではありません。

    しかし前述したとおり、相場を決めるのは売主ではなく買主なので、売主の希望が相場より高ければ売れない物件になってしまいます。だから売主も、理想よりも現実を見て、しっかりと相場を把握する必要があります。

    不動産の売却価格の相場を知るには?

    具体的に、不動産の売却価格の相場を知る方法を説明します。

    基本的には、次に挙げる4つの調べ方があります。

    • 近所の人に、いくらで買ったか?いくらで売れたか?を確認する方法
    • ネット広告などで、実際に売りに出されている物件の「売り出し価格」を知る方法
    • 不動産会社にお願いして、「REINS(レインズ)」というデータベースで取引事例を調べてもらう方法
    • 実際に不動産会社に査定をしてもらう方法

    1については書いてあるまま、最近引っ越してきたような人や、出て行った人などと話す機会があれば、なんとなく聞いてみる方法です。

    4については重要な話なので1つ下の見出しで詳細に説明するとして、ここでは、2と3の方法について説明します。

    ネット広告で実際に売りに出ている物件をチェックする方法

    前項でも少しふれましたが、立地エリア・築年数・広さ・間取りが似ている物件は、だいたい同じような相場で取引されています。そのため、同じマンションや、同区画内で同時期に分譲された一戸建てなどが売りに出ていれば、良い参考資料となります。

    ただし、注意しておかなければいけないのは、売っている価格と売れる価格とは必ずしも同じではないということです。

    「REINS(レインズ)」で調べる方法

    実際に物件が「いくらで売れたのか?」を知る方法もあります。それが「REINS(レインズ)」というシステムを利用することです。REINSには、全国の不動産の売り情報、成約情報が詰まっています。残念ながら、このREINSを利用できるのは不動産会社だけなので、一般の人がこのシステムを閲覧することはできません。

    どうしても知りたい場合は近くの不動産会社に行って、「 もし売るとしたらいくらくらいになりそうですか?」と聞いてみると、簡単に簡易査定をしてくれます。

    また、個人でも利用できる「土地総合情報システム」というサイトでも、簡単な取引事例を調べることができます。ただし、「土地総合情報システム」は物件を特定できないようにつくられているため、情報量が少なく参考程度でしょう。

    なお、土地総合情報システムは、売買した人からのアンケートによって取引事例のデータベースがつくられています。

    そういった点を踏まえると、やはり一度不動産会社に足を運んで、REINSで同条件の成約事例を調べてもらうのがよいでしょう

    REINSは、不動産流通機構が運営しています。同機構は、REINSを通して不動産取引の透明化・適正化を図る組織です。東日本・西日本・近畿圏・中部圏の4つの組織に分かれており、それぞれの地域の不動産取引をいわば監視しているような組織です。そして、この機構に加盟している不動産会社が1つのREINSというデータベースを利用しています。売買案件を取り扱う不動産会社は、ほぼすべてこの機構に加盟していると考えていいでしょう。

    専任媒介専属専任媒介での不動産の売買案件は、このREINSに売り出し情報・成約情報を登録しなければいけないという法的義務が、不動産会社には課せられています。そのため、このREINSの情報が、不動産取引の価格や相場を知るうえで有効といえます

    適正な売却価格を設定するには、複数の不動産会社に査定依頼する

    より適正な売却価格を知るためには「訪問査定」を利用しよう

    前述した、不動産の売却価格の相場を知る方法の4、実際に不動産会社に査定をしてもらう方法について詳しく説明します。

    いくらネット広告の売り出し情報や、REINSでの近隣相場を調べても、適正な物件相場は把握できません。特に土地や一戸建てなどは同条件で比較できるものが少ないので難しくなります。

    そういうときには、やはり実際に不動産会社に査定をしてもらうことをお勧めします。

    不動産会社の査定にも2種類あり、電話やメール、FAXだけでだいたいの価格を出してもらう「机上査定」と、実際に訪問してもらい、部屋の状況なども加味して価格を算出してもらう「訪問査定」があります。

    机上査定の一番のメリットは、不動産会社と会う必要がないので、気軽に依頼をすることができ、直接媒介契約の営業を受けずに済むことです。

    しかし机上査定には、室内の利用状況や外観の修繕状況などは加味されません。

    対して訪問査定では、室内の状況や戸建てであれば屋根や外壁の状況など、より詳しく査定をするので、現実的な価格を提示してもらうことが可能です

    しかし訪問が必要になるので、そのために時間をつくらなければいけません。

    メリット デメリット
    机上査定 不動産会社と会う必要がないので、気軽に依頼をすることができる 室内の利用状況や外観の修繕状況などは加味されないので、より正確な価格を査定してもらうことは不可能
    訪問査定 詳しく査定をするので、現実的な価格を提示してもらうことが可能 訪問が必要になるので、そのために時間をつくらなければならない

    理想としては机上査定で複数社に査定依頼をし、その中で対応の早さや雰囲気のよいところから数社に絞って訪問査定を依頼するのがいいでしょう。

    ただし訪問査定で具体的な価格を提示されても、その査定額が売り出し価格とはかぎりません。

    不動産査定といっても、不動産会社の査定員も前述したREINSの取引事例をメインにして査定をするので、絶対にその価格で売れるという保証はありません。査定額より高く売れることもありますし、逆に査定額よりも低くなることもあります。こればかりはそのときのタイミングや季節、経済状況にも左右されてしまいます。

    そのため、最終的には売主が売り出し価格を決めなければいけません。

    また、不動産査定をしてもらう際の注意点として、「高い査定額が出るからいい会社とはかぎらないということがあります

    不動産会社を決める際には査定額よりも、その価格になった理由について納得のいく説明ができているかどうかや、早期売却に向けてどのような営業活動ができるのかという点を重視しましょう。

    現実的な売却価格を知るには不動産鑑定士の「鑑定評価」は不向き

    不動産の価格には、不動産会社が提示する「査定価格」と、不動産鑑定士が鑑定する「鑑定評価」というものがあります。

    査定価格

    査定価格とは、現実に売買の実務で取り扱われる価格のことで、いわゆる不動産相場などがこれにあたります。

    鑑定評価

    鑑定評価とは不動産鑑定士が公的機関からの依頼によって、地価公示法に基づく標準値の鑑定や、路線価の評価、競売における評価などを行ったり、一般企業の資産評価などに使われる評価額を鑑定するものです。

    一般的に不動産というものは1物4価、1物5価というように、本来の価値以外にも需要と供給のバランスや人気・不人気、流行など、さまざまな価格を変動させる要素が関わってくるので、路線価や公示価格などは参考程度に使われ、実際の売買では不動産会社の査定価格が用いられます。

    しかし、課税や競売などにおいては、不動産鑑定士が導き出した価格で判断することになります。

    わかりやすく言い換えると、査定価格は「売主と買主の思惑が絡んだ、現実的だが根拠が曖昧な価格」であり、鑑定評価額は「誰の思惑も絡んでいない、客観的な価値を示す価格」ということです。

    そして、実際に不動産の売買で関わってくる価格は、査定価格です。「できるだけ高く売りたい」という売主の思惑と、「少しでも安く買いたい」という買主の思惑が複雑に絡んだ結果、落ち着いた価格ということです。

    そのため、鑑定評価額が高くても、「○○エリアなんて時代遅れだね」なんていうことになると鑑定評価額より安くなることがあるし、鑑定評価額が安くても、「今後は△△エリアが熱い!!」なんてことになると、鑑定評価よりも高く取引されることも多々あります。

    どちらの価格で売ったらいいとか、どちらを選んだら得するとかいうことではなく、不動産を売りたいときは「査定価格がいくらになるのか?」という点を注意する方がよいでしょう。

    収益物件(マンションやアパート)の売却価格を知るには?

    収益物件の売却価格には、物件の利回りが考慮される

    ここまでは居住用の不動産の査定について述べましたが、最後に収益物件の査定について説明します。

    収益物件とは、いわゆる賃貸アパートや賃貸マンションなどの投資用物件のことです。これらの物件も同様に、不動産会社を通して積極的に売買されています。

    ただし、査定においては居住用住宅とは少し異なり、第一に利回りを重視する「収益還元法」という方法で査定がなされます。

    収益還元法とは

    収益還元法とは、その不動産を賃貸に出して年間いくらの家賃収入があり、何年かけて回収できるのかという「利回り」を重視して価格を算出することです。


    利回りとは

    利回りとは、投資したお金がどれくらいの利率で戻ってくるかの指標であり、一般的には年間賃料÷物件価格×100で算出します。

    これを「表面利回り」といい、単純計算で投資した金額に対して、いくらのリターンがあるかという基準となります。

    そして、さらにその年間の賃料収入額から、固定資産税や都市計画税など年間のコストを差し引き、購入時の手数料などを購入価格に上乗せした価格から算出されものが「実質利回り」となります。実質利回りは(年間賃料?年間の諸経費)÷(物件価格+購入時の諸費用)×100で算出します。

    多くの投資家は、物件の価格よりもこの表面利回りと実質利回りを特に重視して物件選びを行います。その理由は、「買主の目的は良い家に住みたいのではなく、あくまで投資でしかない」からです。

    そのため、建物全体の価値がいくらということよりも「この地区でこの間取りなら、家賃はいくらで貸せるか?」「空室率はどれくらい想定されるか?」という賃貸需要の方が重要になってきます。

    そのため、立地が悪くて建物が古くても周辺に賃貸物件が少なく、駐車場などの設備が整っていれば一定の賃貸需要を望むことができるので、高利回りの物件になります。逆に、駅に近い築浅物件でも、もっと新しい賃貸マンションが周辺に多数ある場合は、利回りはそれほど高くはなりません。

    また、居住用住宅のように自分の生活スタイルと予算を総合して物件を決めるわけではなく、自らが利益を得られると判断すれば、仮に当初の予算の倍の価格でも投資しようという買主も多いです。

    いずれにせよ、収益物件を売却する際にはとにかく利回りが重要です。

    なお、まったく居住者がいなくて大規模改修や取り壊しが可能な収益物件も、一部では人気があります。

    収益物件について相談するときは、居住用不動産を扱う会社よりも投資用物件を積極的に販売している不動産会社や、賃貸店舗を運営している会社の本部の売買事業部などに売却の相談をする方が、買主の情報(大家さんの情報)をもっているのでスムーズな売却が見込めます。

    まとめ

    • 買主が買う価格が、不動産の価格となる
    • 不動産において、売っている価格と売れる価格とは必ずしも同じではない
    • 収益物件についての相談は、投資用物件を積極的に販売している不動産会社などの方が、スムーズな売却が見込める
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