アパート売却査定|売るための5つのコツと費用・税金の計算方法
アパートの売却をするときには、高く売るための方法を押さえることはもちろん、基本的な流れやかかる費用を知っておく必要があります。
売却にかかる費用や税金を把握しないまま売却してしまうと、結果損してしまうことも…
ここでは「アパートをなるべく高く売るコツ」と「アパート売却の方法」、「アパート売却でかかる税金」などについて説明します。
目次
アパートを売却する流れの7ステップ
アパートの売却の流れは以下の7ステップを押さえましょう。
アパート売却の流れの7ステップ
- 情報収集
- 査定&売却価格
- 媒介契約の締結
- 販売活動
- 売買契約の締結
- 各種手続き・支払い
- 引き渡し
一つずつ詳しく見ていきます。
ステップ1. 情報収集
アパート売却を考えたら、まずは情報収集をしましょう。
不動産のポータルサイトのSUUMOなどを利用して、売りたい物件と似た条件の物件を探し、販売価格を調べます。
ステップ2. 査定&売却価格
相場がつかめたら、不動産会社に依頼して査定をします。
査定をすると相場とのズレを把握できますし、査定金額を参考にして売却価格をどう設定すべきか検討できます。
査定は1社だけでなく複数の不動産会社に依頼するのが一般的です。
ここで役に立つのが無料の不動産一括査定サイトです。
不動産一括査定サイトを利用すると、所有するアパートの所在地や状態を一度入力すれば、複数の不動産会社から売買事例を参考にした査定価格が提示されます。
複数社の査定結果を見比べながら、その根拠や売却計画についてきちんと説明できる会社を選びましょう。
査定時に気をつけておきたいのは、一括査定サイトで提示された査定価格は売却価格とは違うこと。
なかには、物件の契約を結ぶために相場より高い価格を提示してくる不動産会社もいるので注意してください。
査定金額はあくまで予測金額であり、実際の売却金額は買主との交渉の結果、金額が確定することを理解しておきましょう。
ステップ3. 媒介契約の締結
不動産会社を選んだら、売買の仲介を依頼するのに必要な媒介契約を結びます。
媒介契約とは、不動産の売主と買主を仲介する不動産会社と結ぶ契約です。
媒介契約には、以下の3種類があり、契約条件に違いがあります。
アパートの売却の場合は、専任媒介や専属専任媒介にするのがいいでしょう。 その理由は後ほどご説明します。
- 専任媒介契約
- 1社の不動産会社のみに仲介業務を依頼する契約です。ほかの不動産会社との契約はできませんが、売主自身が買い手を見つけることも可能。 売主で買い手を見つけた場合は、不動産会社に仲介費用を支払う必要はありませんが、それまでに発生した営業経費を不動産会社から請求される可能性があります。
- 専属専任媒介契約
- 専属専任媒介契約とは、1社の不動産会社のみに限定して依頼する契約です。 ほかの不動産会社と契約できないため、依頼された不動産会社は積極的な営業活動をすることが求められます。 また、売主が自分で買主を見つけた場合でも、契約した不動産会社を通して仲介手数料を支払う必要があります。
- 一般媒介契約
- 一般媒介契約とは、複数の不動産会社に取引の仲介を依頼できる契約形態です。 売主が自分の人脈をたどって買主を見つけることもできます。
ただ、複数社に依頼することになるため、不動産会社が本腰を入れてくれない可能性があります。
たとえば、「不動産流通標準情報システム(レインズ)」という不動産業者のみが登録・利用できる不動産ネットワークへの掲載義務がなかったり、不動産会社によっては広告費をかけなかったりするなどです。
ステップ4. 販売活動
不動産会社と契約を結んだら、販売活動がスタートし、以下のような販売活動を不動産会社が行います。
【不動産会社が行う販売活動】
- ウェブサイトへの物件情報の公開
- 各種ポータルサイトへの登録
- レインズ(不動産流通標準情報システム)への登録
- 物件購入希望者への物件紹介
- 新聞折り込みチラシへの掲載
販売活動は平均して3ヶ月ほどの時間がかかります。
購入希望者が現れたら、購入希望者が実際に物件を内覧しに来ますので、家は整理整頓しておきましょう。
ステップ5. 売買契約の締結
内覧を済ませて、買主の購入の意思が固まったら、売買契約を結びます。
各種手続きはありますが、不動産会社に任せていれば心配ありません。
もし、不動産会社と媒介契約を結んでいない場合は、売買契約で苦労することになるかもしれません。
ステップ6. 各種手続き・支払い
売買契約が済んだら、その契約にのっとって支払いが進められます。
また売買契約が実際に結ばれたので、不動産会社にも成果報酬として仲介手数料を支払います。
ステップ7. 引き渡し
各種手続きや支払いが完了したら、物件を買主に引き渡します。
アパート売却の流れを紹介しました。
まず情報収集や査定をすることが売却に向けての本格的な一歩となります。
早期の売却を考えている場合は、早めに動き出しましょう。
アパート売却をする前に知っておきたい6つの情報
ここからはアパートを売却する前に知っておきたい情報を解説。
売却期間を早められたり、高く売却できたりする可能性が高まります。
1. アパート売却の営業活動の特徴
不動産業者がアパートを売却するための営業方法は、居住用不動産とは異なった流れになることが多いです。
居住用不動産の購入を検討するのは一般の人なので、不動産の情報収集をインターネットの広告や雑誌の広告などから行います。
一方、アパートを1棟購入する人はおもに投資家。
最近はインターネットで投資物件を探せるポータルサイトも増えてはいますが、投資家は、懇意にしている不動産会社を通して情報を得ることが多いです。
そのため、収益物件の売却に強い不動産業者は、アパート売却の依頼を受けた時点で、物件を提案する投資家をリストアップしています。
条件のよいアパートであるほどこの傾向が強く、公に物件情報を公開しなくても、投資家から買い付けが入ることもあります。
媒介契約を結んでからレインズ(不動産流通標準情報システム)に登録するまでの期間は法で決められています(専任7日、専属専任5日)が、レインズに登録するより前に買主が現れることも。
2. 高く売却されるアパートの3つの特徴
アパートを高く売るには次の3つに当てはまることが重要です。
【高く売れるアパートの3つの特徴】
- 入居率がよい
- 将来的な賃貸需要の見込みが立っている
- 家賃を高く取れる理由(設備や広さなど)がある
上記に加えて、入居者の家賃の支払い状況も重要。
入居率がよくても入居者の多くが家賃滞納をしている場合、売買価格の値下げの原因になったり、投資対象として敬遠されたりすることもあります。
そのため、入居者について以下の点を確認しておきましょう。
- 入居時にしっかりとした連帯保証人を確保しているか
- 共用部をきれいに使える入居者か
3. アパート売却の際に用意しておくべき書類
アパートを売却する際は、以下のような書類が必要です。 必要な書類が多いので、売却を検討している段階から用意しておくことをおすすめします。
【アパート売却の必要書類】
- 権利書または登記識別情報
- 建築確認証、検査済証
- 固定資産税評価証明書、固定資産税納税通知書
- レントロール
- 各階の平面図
権利書または登記識別情報
権利書や登記識別情報は、該当不動産の所有者があなたであることを証明する書類です。
契約時に必要になるので、契約前になってあわてないように、事前に用意しておきましょう。
建築確認証、検査済証
アパートなどの収益物件は、購入時に先々売却することを視野に入れている投資家が多いです。
そのため、検査済証がない「売りづらい物件」は敬遠される傾向にあります。
建築確認証や検査済証は、きちんと検査を受けた安全に住める物件である証明なので、必ず用意しておきましょう。
固定資産税評価証明書、固定資産税納税通知書
利回りの計算は、以下のふたつがあります。
- 表面利回り
- 家賃だけで計算する利回り
- 実質利回り
- 税金やローン金利なども含めて計算する利回り
投資家が売却を検討する際には、実質利回りを重視するため、年間の固定資産税額を証明する固定資産税評価証明書、固定資産税納税通知書を用意しましょう。
レントロール
レントロールとはいわゆる家賃表のことで、部屋別の家賃が一覧で記載されている書類のことです。
このレントロールを見れば、月あたりの総収入がわかります
また、長期間居住していて、他の部屋より高い家賃を払っている人がいた場合、その入居者が退去すると次は家賃が下がる可能性も。
そうした可能性も踏まえて、現実的な利回りを計算する必要があります。
各階の平面図
アパートなどの収益物件の売買では、居住者がいる部屋を購入希望者に見せられません。
購入希望者にイメージをもってもらうために、建築時に渡されている各階の平面図などを用意しておきましょう。
4. アパート売却は専任媒介契約か専属専任媒介契約がおすすめ
アパートの売却を不動産業者に依頼する際は、一般媒介ではなく、専任媒介もしくは専属専任媒介がおすすめです。
アパートなどの収益不動産の買主を探す営業手法は、居住用住宅と違う点が多いため、より多くの投資家とつながりがある不動産業者に依頼すべきです。
不動産会社が投資家に物件を進めるときに、より確実な案件を持ち込みたいと考えます。
そのため、いつどこで他の会社で売買が決まってしまうかわからない一般媒介契約の物件は、自信をもって勧められません。
一般媒介契約は複数の不動産業者に依頼できるため、販売の間口が広がるように思えますが、アパートなどの投資物件に関しては不動産業者をしっかり味方につけ、より良い投資家に紹介してもらうことが重要です。
そのため、媒介契約は専任媒介や専属専任媒介を選択し、1つの不動産業者に全て任せることをおすすめします。
5. アパート売却後の入居者の取り扱い
アパートを売却するときは、入居者の賃貸借契約を書き換えて、そのまま継続して住んでもらうのが一般的です。
買主は投資目的でアパートを購入するので、家賃を支払ってくれる入居者が多い方が歓迎されます。
取り壊して別のアパートを建てるなどの予定がない限りは、現在の入居者はそのまま住んでもらいましょう。
購入後に入居者に立ち退きを求めるか否かは、買主が決めることなので、売主はその点を考えなくても大丈夫です。
6. アパート売却の査定はどのように行われるか
アパートの査定は、居住用不動産の査定基準と大きく異なります。
アパートの購入を考える投資家からは、アパートを運用して利益を得ることが目的なので、購入において「利回り」を重要視します。
不動産の価格査定の方法は、大きく次の3つです。
査定方法 | 詳細 |
---|---|
原価法 | もう一度同じ建物を新築したときの原価を割り出し、築年数を考慮して価格を算出する方法 |
取引事例比較法 | 周辺の同条件の不動産の取引価格を基準に、価格を算出する方法 |
収益還元法 | 賃貸に出したときの将来の収益を求め、利回りを想定したうえで価格を算出する方法 |
アパートなどの収益物件は、主に収益還元法が用いられ、「現在の入居率」「家賃」「総部屋数」「満室時の収入」「将来においての入居の見込み」などをベースに、現実的な売却価格を逆算します。
これらの計算方法から売却価格を算出するのは難しいため、不動産会社に査定を依頼して結果を教えてもらいましょう。
あなたのアパートの売却価格を知る方法
アパートの売却価格を知る方法は以下ふたつです。
【アパートの売却価格を知る方法】
- アパートの相場や査定価格を把握する
- アパートを売却するなら査定は複数の不動産業者に依頼する
1.アパートの相場や査定価格を把握しよう
アパート1棟の相場は、居住用不動産のように簡単に知ることができません。
【アパートの売却相場の自力算出が難しい理由】
- 売却額が部屋それぞれの広さや設備、家賃で異なる
- 「実際にその家賃で本当に貸せるのか?」「本当に満室になるのか?」が買い手には不明
- 地域や築年数によって適正な利回りが異なるので、プロに相談しないと判断がつかない
- 売り手と買い手で利回りの基準がずれることがあるので、自分の基準で考えると価格にずれが生じる
また、投資用のアパートは、築浅のほうが売れやすいと思う人が多いですが、実は築年数が古いアパートにもメリットがあります。
なぜなら、不動産投資をする上では、建物の減価償却費をどのように経費として計上できるかが大きなカギとなるからです。
たとえば、木造アパートの耐用年数は22年であるため、築23年以上の木造アパートの場合は減価償却期間を過ぎているため、最短4年で償却できます。
償却期間が短いと、それだけ経費として計上できる金額が多いため、節税につながるので、築年数の古いアパートを求めている投資家は意外といます。
このように、アパートなどの収益物件の価値や売却金額の目安は、なかなか査定が難しいです。
そのため、アパートを売却する際は、自分で相場を算出するよりも、不動産会社に査定を依頼するのが賢明です。
査定の方法にも簡単な机上査定(簡易査定)と訪問査定(詳細査定)の2つがあります。
まず、おおよその価格を知るために簡易査定をするとよいでしょう。
2.アパートを売却するなら査定は複数の不動産業者に依頼する
不動産会社からすると、アパートの売買仲介は、ぜひ取り扱いたい物件です。
その理由は、手続きに必要な作業は居住用住宅とあまり変わらないにもかかわらず、売買金額が高いため手数料も高額だから。
一方で、アパートなどの収益物件は居住用不動産よりも特殊な点があるため、売主側としては収益物件の売買のノウハウや経験が豊富な不動産業者を選ぶことが重要です。
そのため、収益物件の売買に強い3〜5つほどの不動産業者に査定依頼をして、比較検討することをおすすめします。
3.アパート売却に強い不動産業者の特徴
アパートなどの収益物件に強い不動産業者の特徴は、大きく2つあります。
【収益物件に強い不動産業者の特徴】
- 収益不動産をメインで取り扱っていて、自社で企画建築までやっている
- 収益不動産の取り扱いをメインにしている不動産会社は、投資家とのパイプが非常に強いです。 そして、自社で収益用アパートやマンションを企画建設しているということは、それだけ購入する可能性のある投資家とつながっているということを意味します。
- 売買事業部以外に、賃貸事業部と管理事業部がある
- 売買事業部と賃貸事業部、管理事業部をもっている不動産会社は、管理事業部で投資家とのつながりをもち、売買事業部で収益不動産を投資家に売却し、賃貸事業部でその物件の居住者を募ります。そして入居率が上がることで、投資家がまた収益物件を購入するというサイクルが形成されています。
一棟アパートと相続アパートの売却時の注意点
アパートを売却する場合の注意点を説明します。
アパートを相続した場合は、相続税や名義人などの権利関係に注意が必要です。
投資用などの一棟アパート売却の注意点
一棟アパートを売却する場合は、買主は投資家である可能性が高いです。
そのため、購入に値する利益が出る物件であるかという視点でチェックされます。
以下の点に注意することで、売却の可能性を上げられます。
- 空室を減らし、稼働率を上げる
- アパート経営で利益を上げるには、満室であることが非常に重要。 空き部屋が多いと収益率が低いため、購入価格が下がる可能性が高いからです。
- 建物や設備の状態を確認する
- 物件の状態が悪いと買い手がつきづらく、購入後にトラブルになる危険性があります。 設備が不十分だと入居者がつきづらく空室になる可能性もあるので、故障などは直しておくようにしましょう。
アパートを相続した場合の注意点
遺産相続などでアパートを相続し、売却を考えている場合は以下の点に注意しましょう。
- 売却時に名義人の確認をする
- 相続人が自分だけの場合や、遺言書などで相続人が指定されていた場合、相続人は明確です。
しかし、相続人が複数いる場合は共有せず、誰が相続するかを話し合い決定するほうがのぞましいです。
また、遺産が不動産のみの場合は、物件を売却した後に分け合う必要性があります。 - 相続税がかかる
- アパートの売却金額によっては、相続税がかかります。
相続税には基礎控除があり、相続財産の合計が以下の範囲内であれば相続税を納付する必要がありません。
「3,000万円+600万円×法定相続人の数」
もし、アパートを売却できなかったらどうする?
不動産会社に依頼してもアパートを売却できなかった場合は、買取専門の不動産業者に売却するという選択肢があります。
ただし、不動産業者に直接買い取ってもらう場合は、仲介で売るよりも2割~3割程度、売値が下がってしまうので注意しましょう。
不動産業者は、買い取った不動産に必要な補修や改修を加え、物件を売却したり、賃貸したりして利益を出します。
このような補修、改修、整理に費用がかかるため、不動産業者は安く物件を買い取る必要があり、売却金額が割安になってしまうのです。
買取を希望する場合は、不動産業者に直接買取を依頼する方法もありますが、買い取った不動産をどう活用するかによって査定が異なります。
1社だけに依頼すると足元を見られてしまう可能性があるので、一括査定を依頼したほうがよいでしょう。
手取りはいくら?アパート売却にかかる費用・税金
仲介手数料 | 売買価格×3%+6万円(消費税別) |
印紙税 | 売買価格による。賃貸物件などは領収証にも添付が必要。 |
消費税 | 売却金額が1,000万円を超える場合は納付の必要あり |
登録免許税 | 抵当権抹消費用登録免許税(一筆1,000円)+司法書士報酬ほか (このほか相続登記費用、住居表示変更登記費用がかかる場合も) |
期前返済手数料 | ローンを期日前返済する場合の手数料。金融機関規定による |
建物解体費用 | 建物構造および規模、道路状況による |
境界確定費用 | 隣接土地の件数や規模等による |
補足の説明が必要なものについて、説明します。
仲介手数料
仲介手数料は法律で定められており、物件価格が400万円を超えると「物件価格の3.3%+6万円(消費税別)」です。
支払いのタイミングは、契約締結時に半額、決済引き渡し時に残額となることが多いです。
また、売主の中には「仲介手数料の割引ができるか?」と考える人がいますが、あまりお勧めしません。
賃貸の仲介では、仲介料が無料というようなサービスを行っている業者も増えてきていますが、売買の仲介は仲介業者の業務量や責任が違います。
そのため、売主側から仲介手数料の値引きを求めると、あまり良い印象をもたれません。
どうしても手数料の額が大きく負担に感じるようであれば、仲介手数料の値引きを考えるのではなく、その分も価格に上乗せして売却することを考えた方がよいでしょう。
印紙税
印紙税は以下の通り規定されています。 (アパートの売却で100万円以下は考えにくいため省略しています。)
契約金額 | 軽減税率(不動産売買契約は軽減の対象) |
---|---|
100万円を超え、500万円以下のもの | 1,000円 |
500万円を超え、1000万円以下のもの | 5,000円 |
1000万円を超え、5000万円以下のもの | 10,000円 |
5000万円を超え、1億円以下のもの | 30,000円 |
以下省略 | 以下省略 |
消費税
アパートなどの収益用物件の売却は事業での売却という扱いになるため、消費税が課税されます。
売却価格は課税売上として計算されるため、アパートを1,000万円以上の価格で売却した場合、売主は「課税事業者」と見なされ、消費税の納付義務が発生します。
期前返済手数料
アパートを売却する場合、ローンが残っていることが多々あります。
ローンを完済しないと不動産を売却できないため、ローンを返済する必要がありますが、その際には期前返済手数料を支払わなければなりません。
手数料の金額は、契約プランや金利、銀行によって違うため、いくらかかるのか事前に銀行に確認しておきましょう。
所得税や住民税
アパートを売却した場合は居住用不動産を売却したときと同様に、譲渡所得に対して所得税と住民税が課せられます。
譲渡所得は次のように計算をし、譲渡所得に税率をかけたものが税額となります。
【譲渡所得の計算方法】
譲渡所得=譲渡価格−({取得費−減価償却費}+売却費用)
税率は、次のように、建物の所有期間によって異なります。
所有期間 | 税率 |
---|---|
所有期間が売却の年の1月1日時点で5年以下 | 39.63% |
所有期間が売却の年の1月1日時点で5年超 | 20.315% |
もっとも大きな注意点は、アパートの売却では居住用不動産の場合に適用される以下の特例が一切適用されないことです。
- 3000万円特別控除
- 10年超所有軽減税率の特例
- 特定居住用財産買換え特例
- 譲渡損が出た際の「損益通算・繰越控除」
税金は、収益用不動産の売却を考えている人の盲点になりがちなので、事前にしっかりと税理士と相談しましょう。
相続したアパートを売却する場合の注意点
相続したアパートのときに注意したいのは、長期譲渡所得の基準となる5年のはじまりは、相続したときからではなく、被相続人が所有したときからカウントされること。
また、長く保有していて取得費がわからない場合は、「売却価格×5%」を取得費として計算します。
その際、売却価格の95%が譲渡益となってしまうので、譲渡所得税が大きくなるので注意が必要です。
まとめ
この記事では、アパートを売却する流れや、アパートを売却するときに知っておくべき知識を説明してきました。
もし、相続したアパートを売却する場合は相続税や名義人などに考慮が必要です。
さらに、アパートを売却するときにかかる費用、注意が必要な税金についてもお伝えしました。
全体を通して言えることしては、アパートを良い条件で売却し、手続きをスムーズに進めるためには、収益物件に強い不動産会社を選ぶことの重要性です。
イエイ不動産などの一括不動産査定サイトを利用して、複数の不動産会社の中から信頼できる会社を選びましょう。
一括査定を利用すると以下のようなメリットがあります。
この記事の執筆者
■久保 佳那(くぼ かな) NEC ネッツエスアイで法⼈営業、キャリアデザインセンターでの求⼈広告制作・新規事業マーケティングを経験。ウェブライダーにてSEO コンサル・コンテンツマーケティングを経験後、2017年に独立。企業や経営者への取材・執筆、メディアのコンテンツ制作・SEO支援に携わる。