家売却の流れ

2020-11-27

空き家売却のコツを有識者に聞いてみた!高く売る方法は?体験談あり

空き家になってしまった実家をどうしたらいいの…?

突然の相続問題で、こういった悩みを抱えている人は多いのではないでしょうか。

古く慣れ親しんだ実家とはいえ、誰も住んでいないのに、固定資産税の支払いや建物の維持管理費用が生じるため、放置状態になってしまうことも。

そこで、2014年の法改正により、「倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態、著しく衛生上有害となるおそれのある状態、適切な管理が行われないことにおり著しく景観を損なっている状態」の空き家については「特定空き家」として取り扱われることになりました。

「特定空き家」に指定されると、住宅用地としての固定資産税軽減が認められなくなるため、放置することがさらなるリスクになってしまいます。

そのため、空き家状態をいち早く解決しようと、「売却」を選ぶ人が増えています。

ここでは、空き家を売却する際の流れや、少しでも有利な条件で売却するためのポイントについてご紹介します。

目次

    3つの空き家の売却方法

    そもそも空き家を売却するには、以下の3つの方法があります。

    1. 中古住宅としてそのまま買主を見つける
    2. 建物を解体して更地にして買主を見つける
    3. 買取業者に買い取ってもらう

    それぞれの方法を、メリットとデメリットと合わせて解説していきます。

    (1)中古住宅としてそのまま買主を見つける

    建物の劣化が少ない、あるいはリフォームすることでまだ十分に住むことができる空き家は「中古住宅」として売却を目指します。

    間取りや建物・設備の状況を踏まえ、査定されることになりますので、不動産会社と仲介契約を締結したあとは、買主が決まるまで待つだけです。

    人気のあるエリアや駅近の物件であれば、間取りや建物の状況にもよるものの、大抵の物件は早期売却が狙えます

    逆に、その地域の買主のニーズに整合しない間取りや面積の物件の場合は、売却に時間がかかるケースも珍しくありません。

    (2)建物を解体して更地にして買主を見つける

    建物の劣化が激しい、あるいは空き家としての使用価値が低いと判断される場合、建物を解体し、更地として売り出す方法があります。

    建築が認められる地域で、かつ、人気のあるエリアであれば、中古住宅として売り出すよりも、更地になっている方が新築のイメージが掴みやすのです。

    解体費用が事前にかかりますが、早期売却の可能性が高くなります。

    (3)買取業者に買い取ってもらう

    上記の売却方針に悩むことなく、すぐに買い取ってもらえるのが「不動産買取会社による買取」です。

    土地や建物の状況を踏まえ、スピーディに金額を提示してもらえますし、確実に買い取ってもらえます。

    ただし、一般的には仲介による売却額よりも3割程度(もしくはそれ以上)安く買い取られてしまうのがデメリットです。

    しかしながら、所定の期日までに確実に現金化する必要がある、あるいは売却するまでに時間と手間をかけていられない場合に有効な手段です。

    3つの方法のメリット・デメリットを比較

    -
    メリット
    デメリット
    そのまま売却 買主が見つかるまで
    特別な手間がかからない
    長期間売れ残る
    可能性がある
    更地にして売却 早期売却の可能性が高い 解体費用がかかる
    買取してもらう すぐに売却できる 安く買い取られてしまう

    空き家の売却にかかる費用や税金

    空き家を売却する際、あるいは売却したあとにも、さまざまな費用や税金が発生します。

    仲介手数料や譲渡所得税など、場合によっては金額が大きくなるものもあります。

    以下、簡単に表にまとめましたので、事前によくチェックしておきましょう。

    空き家の売却にかかる費用

    不動産の売却
    仲介手数料 不動産業者に支払う仲介の手数料(買取の場合は不要)。
    測量費用 敷地境界が不明な場合や測量図がない(あるいは古い)場合、測量を実施する。
    ハウスクリーニング
    補修費用
    中古住宅に故障や劣化がある場合、売り渡すまでに補修する。
    また、買主に引き渡す前にはハウスクリーニングを行う。
    解体費用 更地にして売却する場合にかかる。
    残置物撤去
    片付け費用
    業者に残置物撤去・処分を依頼する場合にかかる。

    それぞれにどの程度の費用がかかるかは、「不動産売却の費用一覧!仲介手数料は値引き可能?税金の注意点や具体例も紹介」の記事で詳しく説明していますので、こちらもご確認ください。

    空き家の売却にかかる税金

    印紙税 売買契約書に収入印紙を貼付する際にかかる。
    登録免許税 空き家に抵当権がついている場合にかかる。
    金融機関
    (取扱手数料)
    空き家に抵当権がついている場合にかかる。
    譲渡所得税・復興特別所得税 不動産売却で譲渡所得(利益)が出た場合にかかる。
    *復興特別所得税は2037年までの特別措置
    住民税 不動産売却で譲渡所得(利益)が出た場合にかかる。

    それぞれの税金についての詳細は「不動産売却の税金について税理士が解説!損しないためのポイントとは?」で解説しています。

    空き家の売却には特別控除が使える!

    相続した空き家については、平成28年度(2016年度)から導入された制度により、3,000万円の特別控除が適用できます。

    適用の要件は、以下のように細かく定められています。

    これらに該当する物件の場合、大幅な節税効果が期待できますので、ぜひ活用しましょう。

    --【適用期間】--
    平成28年(2016年)4月1日から令和5年(2023年)12月31日まで
    --【対象となる家屋の要件】--

    • 昭和56年5月31日以前に建築されたこと
    • 区分所有建物登記がされている建物でないこと
    • 相続の開始の直前において被相続人以外に居住をしていた人がいなかったこと
    • 相続の開始の直前において被相続人以外に居住をしていた人がいなかったこと(要介護認定等で老人ホーム等に入所していたなどの場合は、相続開始の直前まで老人ホーム等に入所していたこと)
    • 相続により土地及び家屋を取得すること

    --【譲渡する際の要件】--
    • 相続または遺贈により取得した空き家を、相続の開始があった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ること
    • 相続の時から譲渡の時まで、事業や賃貸、居住に使用していないこと
    • 家屋を譲渡する場合(中古住宅として売却する場合)、譲渡時においてその家屋が現行の耐震基準に適合するものであること
    • 家屋を取り壊す場合は、取り壊した後に敷地等を売ること
    • 売却代金が1億円以下であること
    • 相続財産を譲渡した場合の取得費の特例や収用等の場合の特別控除などの他の特例を適用していないこと
    • 親子や夫婦など特別の関係がある人に対して売ったものでないこと

    必要に応じて国税庁のホームページを参照して、しっかりと節税できるようにしておきましょう。

    空き家が売れなかったらどうなるの?放置はNG?

    空き家が売れない、あるいは手続きが面倒だからといって空き家のまま放置してしまったらどうなるのでしょうか。

    時期によっては、前述の譲渡所得税の控除が使えなくなるだけではなく、固定資産税などの観点からも、問題が発生するリスクがあります。

    お金がなくて空き家の対応ができない!どうすればいい?

    突然空き家を相続することになってしまい、本来であれば手入れをしたり、解体したりする必要があるのに、費用が工面できず、手付かずの状態になるケースがよく見られます。

    しかし、そのまま放置していても何も解決しないどころか、建物が劣化したり、雑草が生い茂ったりと、状況は悪くなる一方です。

    場合によっては、自治体から状況を改善するように指導を受けてしまうこともあります。

    また、先述のように「特定空き家」として取り扱われてしまうと、今まで特例で減免されていた固定資産税が高くなることから、できるだけ早期に売却に取りかかることが望ましいです。

    もし自己資金が乏しく、売却査定で空き家がある程度の価格で売却できる見込みがある場合には、補修費用や解体費用などの支払いを売却が完了するまで支払いを待ってもらうという方法もあります。

    これは、仲介を担当してくれる不動産会社や工事業者との十分な協議が必要になりますが、一つの選択肢として考えておきましょう。

    空き家売却の注意点。少しでも節約するには?

    空き家を売却する際に、「高く売る」のと同じくらい重要なことが「経費を抑える」「支払いを節約する」ことです。

    想像より高く売れなかったとしても、かかった経費が少なければ、実質収入が増えます。

    見落としがちですが、販売活動における節約は非常に重要ですので、しっかりチェックしておきましょう。

    注意点(1)自分でできることは自分でやる

    不動産売却の際にはさまざまな法的手続きが絡むため、基本的には不動産会社の力を借りることになります。

    しかし、実はその前後における手続きのうち、自分自身でできることもあります。

    例えば、相続によって取得した不動産の名義変更などは、その空き家のある地域を管轄する法務局に出向いて自分で名義変更が可能です。

    もちろん司法書士に手続きを依頼することもできますが、それなりに費用がかかります。

    他にも、敷地内の草刈りや残地物の撤去、建物の簡単な補修、ハウスクリーニングなど、専門業者に依頼することを自分で行えば、材料費・処分代程度に出費を抑えられるでしょう。

    ただし、遠方の空き家を相続してしまった人は、交通費や往復にかかる時間を考慮して、適宜近隣の業者に依頼する方が安くつく場合もあります。

    経費を抑えるためには、自分と業者の役割分担をしておくことが重要です。

    注意点(2)時間をかけないで早期に売却する

    販売価格を相場とかけ離れた高値に設定し、長期間売れ残ってしまうケースもありますが、これは早々に解決しておくべきです。

    まだ居住に使用できる空き家の場合は、建物にもある程度の価値が見込めるのですが、時間が経つほど経年劣化によって価値が下がります

    さらに、売却が成立しないままであれば、毎年固定資産税や維持管理経費、維持のための労力が発生し続けます。

    「売る」と決めたら、すみやかに売却するのが経費を抑えるコツです。

    注意点(3)信頼できる仲介会社を見つけて情報連携をしっかり行う

    新築物件の売却のタイミングTOP

    早期に、しかし安すぎない価格で売却を成立させたいのであれば、プロの不動産仲介会社に依頼するのがよいでしょう。

    ただし、不動産査定の際に、相場よりも高い価格を提示してくる会社には注意が必要です。

    これは、他の会社より高く売れるように思わせて、売主からの仲介依頼を取り付けようとする手口です。

    そして、相場よりも高い価格設定をしたために結局長期間売れず、次第に販売価格を下げさせられます

    また、時間の経過とともに「売れ残り感」が出てしまい、ますます購入検討者から敬遠されるという悪循環に陥ることにもつながります。

    早期売却や、前述の自分と業者との役割分担などをスムーズに行うためにも、信頼できる不動産会社探しは非常に重要です。

    そのためには、複数社に査定を依頼できる一括無料サイトなどを活用して、多くの会社から査定額や意見を聞くことがおすすめです。

    査定額の根拠の説明力や調査力、販売方針の提案などを踏まえ、信頼のできる売却活動のパートナーを選びましょう。

    また、契約後も、不動産会社との情報連携はしっかり行えるように、緊急時の連絡先や定期報告用のメールアドレスなどを事前に確認しておくことも大切です。

    空き家を高く売るための方法は?高く売れる空き家の特徴

    では、空き家を高く売るには、具体的にどうしたらよいのでしょうか。

    空き家ごとに個別の事情はありますが、想定よりも高く売れた空き家には、共通してある特徴があります。

    (2)残置物がない・室内が綺麗になっている

    中古住宅を購入する際は、基本的に買主が購入前に内覧をします。

    その際、売主の残置物がたくさん残っていたり、室内が汚かったりすると、建物そのものへの印象が悪くなり、売れにくくなります。

    逆に残置物がなく、建物が綺麗になっていると、購入検討者は自分たちの暮らしをイメージしやすくなり、前向きな検討につながりやすいようです。

    空き家を売り出すときは、できる限り綺麗にしておくことをおすすめします。

    (3)建物取得時及びリフォームの経歴がハッキリしている

    中古住宅の購入を検討している人は、その建物の耐久性や劣化状況を特に気にする傾向があります。

    売り出されている空き家がいつ建築されて、どのように構造で作られたのか、築後どのくらいの時期にどのようなリフォームを実施したのかを確認し、良質な中古住宅であるか否かを判断する人が増えています。

    建築当時の確認申請書・図面、リフォームを実施している場合は、その工事内容と範囲がわかる資料を時系列にして保管してあると、建物を正当に評価されやすくなるので良いでしょう。

    結果的に今後のリフォーム計画が立てやすくなり、買主にとってもメリットがあるため、高値での売却につながることがあります。

    最近では、中古住宅の瑕疵(欠陥)を保証してくれる中古住宅瑕疵保険に加入するために、インスペクション(建物状況調査)を実施するケースも増えており、建物への安心感が売却額を高めてくれる効果も期待できます。

    体験談「空き家の売却でこれが大変でした!」

    実際に空き家を売却された方4名に体験をお伺いしてみました。

    空き家売却の参考にしてみてください。

    放置しすぎて失敗(30歳男性:妻・子一人)

    ---空き家の売却で一番困ったこと・大変だったことは何ですか?

    更地にしないと土地を買い取ってもらえなかったことです。

    空き家になっていた家は古く、もう人が住めるような状態ではなかったので、仲介を頼んだ不動産屋にも「更地にしないと買い取りしません」と断られ、困ってしまいました。

    ---空き家になってしまってから、売却完了までどのくらいの期間がかかりましたか?

    空き家になってから3年ほどで、売却活動しだして売却完了するまで1年ほどかかりました。

    ----「こうしていればよかった」と思う点はありますか?

    空き家で放置しておくのではなく、早めに売却しておいたら良かったなと感じています。

    それならまだ買い取ってもらえる不動産屋があったかもしれませんし、他の売却手段があったかもしれないなと感じています。

    ---- これから空き家を売却される方に伝えたいことはありますか?

    空き家になった瞬間からすぐに売却に動いた方が良いと思います。

    綺麗な家でも月日が流れると値段も安くになりますし、自分みたいに空き家がボロボロになると、更地にしないと買い取ってもらえない状態になるので、空き家になったら早く売却することをおすすめします。

    更地にするにも費用がかさむ(30代女性)

    ---空き家の売却で一番困ったこと・大変だったことは何ですか?

    古いので壊して更地にしようかとの話もでたが、大きい家だったので、壊すにも結構な金額がかかると知ってずっと困っていた。

    ---空き家になってしまってから、売却完了までどのくらいの期間がかかりましたか?

    2~3年くらいかかりました。

    ----「こうしていればよかった」と思う点はありますか?

    特にないですが、家が古い場合地震が来て倒壊のおそれがあるので、早めに解体しないとひやひやした。

    ---- これから空き家を売却される方に伝えたいことはありますか?

    古くて場所が不便な場合は思い切って更地にするという選択肢を考えてもいいと思います。

    隣の家から苦情が…(61歳男性:妻・子1人)

    ---空き家の売却で一番困ったこと・大変だったことは何ですか?

    なかなか売れなくて困りました。屋根の雪が隣の敷地に落ちてしまい苦情が来ました。

    ---空き家になってしまってから、売却完了までどのくらいの期間がかかりましたか?

    10か月くらいかかりました。

    ----「こうしていればよかった」と思う点はありますか?

    最初は建物も一緒に売却しようと考えていましたが、買い手が見つからず更地にして売りに出すとすぐに売れました。初めから更地にすれば良かったと思いました。

    ---- これから空き家を売却される方に伝えたいことはありますか?

    築年数の新しい建物であれば別ですが、古くなった建物を売却するのは難しいと思います。早く処分したいのであれば、更地にして売りに出した方が良いと思います。

    室内の片づけが大変だった(35歳女性)

    ---空き家の売却で一番困ったこと・大変だったことは何ですか?

    祖母のものが家の中に物が溢れかえっていたので、売却までの処分が大変でした。

    ---空き家になってしまってから、売却完了までどのくらいの期間がかかりましたか?

    3年もかかりました。

    ----「こうしていればよかった」と思う点はありますか?

    亡くなる前に、空き家の売却についてもっと調べておけばよかったです。 相場よりかなり安く売りました

    ---- これから空き家を売却される方に伝えたいことはありますか?

    土地と建物の相場を空き家になる前に調べておくことをお勧めします。

    また、家の中のものは早めに処分してきれいにできるところは多少リフォームをしたほうがいいです。

    空き家を売るならまずは不動産会社選びを大事にする

    相続や解体など、何かと手間がかかるのでつい放置してしまいがちな空き家ですが、時間が経つごとに劣化や税金、維持費などのデメリットが増えていきます。

    空き家売却は早期の対応が求められますので、相場感を掴んだり、どのようなことから始めたらいいのか相談したりするためにも、まずは不動産会社探しからスタートしましょう。

    不動産会社に心当たりがない場合は、一括査定サイトで無料査定をしてみるのも一つの手です。

    複数者に依頼することで査定額の比較ができ、対応力を確かめることで、自分の物件に合った不動産会社を探し出しましょう。

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    監修者

    大野 光政(おおの みつまさ)

    一級建築士、宅地建物取引士、既存住宅現況検査技術者

    大金興業株式会社代表取締役。
    建築士事務所、不動産業、建設業などの業務をマルチにこなす一方で、建築や設備に関連する資格を多数所持していることを活かし、2006年から生活情報サイト「All About」の公式ガイドとして建築・リフォームなどの記事を執筆。
    一般消費者に建築や不動産に関わる話をわかりやすく親しみやすく伝えることをモットーとしている。
    ■Webサイト
    大金興業株式会社
    https://www.daikin-i.com/

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