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住宅ローンが払えず個人再生をするのは損が少なくなるのか?

更新日:2016年9月2日

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債務超過に陥り、住宅ローンが支払えなくしまったとき、一体どのような手続きをすれば一番損しないで済むのでしょうか。大抵の場合は、負債が大きくなってしまったときに家や車などの財産を処分し、返済に充てなくてはならないものだと思う方も多いでしょう。しかし、そればかりではありません。大切な家を残す手段もあるのです。

住宅ローン残債がある状況で個人再生をする方法

個人再生の手続きと申立に必要な書類は何がある?

個人再生とは、債務(借金)の支払いが困難なときに行う、債務整理の手続きのうちの一種で、裁判所を介して行います。

まず、必要な書類についてです。

  1. 裁判所にあるもの
    • 申立書
    • 陳述書
    • 財産目録
    • 債権者一覧表
    • 1ヶ月単位の家計簿(同居人分も含むもの)
  2. 自分で用意する書類
    • 住民票(世帯全員の名前の記載があるもの)
    • 住居に関する書類
      • 賃貸の場合: 賃貸借契約書
      • 持家の場合: 土地・建物の登記事項証明書(家族名義の場合も)
      • 社宅の場合: 社宅証明書
    • 給料明細(申立て前3ヶ月分)
    • 年収を証明するもの(直近2年分の課税証明書・源泉徴収票等)
    • 自営業者は確定申告の控え

①の書類に、②を添付して自宅の管轄の地方裁判所に申立てをします。

■個人再生の手続の流れとその期間

この流れは、地裁によって少し異なる箇所があります。例えば、東京地裁では個人再生委員といって個人再生をするにあたり手続を監督するため、裁判所が選任する弁護士のことです。

例えば、東京地裁では必ず個人再生委員が選任されますが大阪地裁では選任されません。そのほかの裁判所では、申立人(個人再生をする人)に代理人弁護士がいない場合は個人再生委員が選任される扱いになります。個人再生委員が選任された場合とされない場合のスケジュールの違いを見てみましょう。

■個人再生委員が選任される場合の流れ(例:東京地裁等)

地方裁判所に個人再生の申立て
↓(1~2週間後)
裁判所により選任された個人再生委員との面談
↓(約1ヶ月程度)
個人再生の開始決定
↓(8週間)
債権者が債権についての書類を届出る期限
↓(10週間)
債権認否一覧表提出期限(債務者が提出するもの)
↓(債権額について異議、争いがある場合は13週間の期間が設けられる)
異議申述の期限
↓(債権額について異議、争いがある場合は16週間の期間が設けられる)
評価申立の期限
↓(18週間)
再生計画の提出期限
↓(20週間)
再生計画により書面決議実施の決定
↓(22週間)(選任なしの場合14週間)
債権者の回答書期限
↓(☆25週間)
裁判所により再生計画の認可決定が出される

■個人再生委員が選任される場合(例:大阪地裁等)

地方裁判所に個人再生の申立て
↓(2週間)
個人再生の開始決定
↓(6週間)
債権者が債権についての書類を届出る期限
↓(選任なしの場合8週間)
異議申述の期限
↓(9週間)
再生計画の提出期限
↓(14週間)
債権者の回答書期限
↓(およそ100日程度)
裁判所により再生計画の認可決定が出される

東京地裁のように個人再生委員が選任される場合は、個人再生手続の完了までにおよそ半年程度かかります。そして大阪地裁のように選任されない場合は、およそ100日程度で手続が完了する流れとなります。自宅の所在地の管轄の裁判所について、事前に確認してみると良いでしょう。

住宅ローンを抱えている状況で個人再生ができる条件は?

個人再生手続をするには、いくつかの条件をクリアする必要があります。その条件とは、

  1. 経済状態が破産に準ずるような状況にあること。
  2. 住宅ローンを除いた債務額が5000万円以下であること
  3. 将来、継続して安定した収入を得る見込みがあること

となります。

仕事は従前の通り続けており収入そのものは約束されているが給与やボーナスの減額により、住宅ローンなど借金の支払いが困難になった、というイメージをしてもらえるとわかりやすいと思います。

そのため、住宅ローンを抱えている状態でも問題なく個人再生手続をすることができるでしょう。

通常、破産等の手続きをすると住宅を含め所有する財産は処分され、債権者への返済に充当されます。しかし個人再生は、住宅を残すことができるというメリットがあります。そして、住宅を残すためには先ほどの個人再生の条件を満たしたうえで「住宅資金特別条項」を利用する必要があります。

住宅資金特別条項には要件があります。それは、個人再生手続により、抱えている借金の額が大幅に減額されます。しかし、住宅ローンだけは従来通り(期日を変更してもらえることもあります)返済を行わなくてはならないということです。

住宅資金特別条項については、連帯保証人のことや共同名義人の存在など複雑な事情が関係してくるばかりか、住宅ローンのことだけではなくそのほかの債務についての債権者との調整もありますので、まずは弁護士や司法書士などの専門家に相談してみましょう。

不動産が共有名義でも個人再生は可能か?

不動産が共同名義であっても、個人再生することは可能です。しかし、細かい要件があります。例えば、夫婦共有名義で住宅を使用しているとします。

個人再生の申立をする人(夫もしくは妻の片方)と、住宅ローンの債務者(夫もしくは妻)が同じ、もしくは債務者が夫婦の連帯債務である場合は住宅資金特別条項の利用が認められます。例えば、妻が申立人、住宅ローンの債務者が夫、という場合は(連帯保証人が妻だったとしても、主たる債務者ではないため)認められません。

また、もう1つ注意しなければならないのは、夫婦共同名義で支払いも夫婦それぞれが銀行と契約をする「ペアローン」を利用していると、どちらか片方だけ個人再生をするということは不可能に近いということです。その場合は、夫婦でそろって個人再生の手続きをすることにより、住宅資金特別条項を利用することができる可能性があります。

住宅ローンの支払いができずに個人再生をすると起こること

個人再生すると財産や住宅ローン残債の返済はどうなるのか

通常、財産の差押えには不動産等の資産も対象となりますが、個人再生の場合は住居は差押えの対象となりません。そのため、住居に抵当権を設定している債権者が抵当権を行使し、差押えや競売の申立てに入っている場合でも個人再生の手続きをすることによりストップさせることが可能です。しかし、給与を差し押さえられる可能性はあります。

個人再生には2つの種類があります。その違いについて簡単にご説明しましょう。

1.小規模個人再生手続

主に自営業者など小規模の商店や事業を営む人を対象にした手続きです。利用には以下の要件があります。

  • 住宅ローンを除く債務の総額が5000万円以下であること
  • 将来にわたり継続的に安定して収入がある見込みを認められること

2.給与所得者等再生手続

主に、サラリーマン等の勤め人を対象をした手続きになります。利用するには、以下のような要件があります。

  • 住宅ローンを除く債務の総額が5000万円以下であること
  • 将来にわたり継続的に収入があること
  • 収入が「給与」などで、その金額が安定的であること

どちらの手続きをするかによって、最低限返済しなければならない金額が変わってきます。

1.小規模個人再生手続を利用する場合は住宅ローンを除いた借金の総額により、返済の最低限度額が変わります。
<例>
借金総額が100万円未満→総額全部
借金総額が500万円超1500万円以下→総額の5分の1
借金総額が3000万円超5000万円以下→総額の10分の1

2.給与所得者等再生手続
小規模個人再生手続と同様に借金の総額により算出した最低限度額
と、自分の可処分所得額(手取りの収入)から最低生活費などを差し引いた金額の2年分の金額を比較して多い方の金額を返済最低限度額とします。

ただし、財産の状況などによって変化することもありますので、弁護士等専門家に相談してみることをおすすめします。

手続の流れに違いがありませんが、申立てを弁護士にしてもらった場合と、自分でした場合では裁判所に納める費用に違いがあるようです。代理人弁護士がいないと個人再生委員が選任され、その委員の報酬を支払うことになるため代理人弁護士がいた方が金額が安くなることがほとんどです。

住宅ローンの代位弁済についてですが、住宅ローンが滞納状態になると、保証会社が債権者に代位弁済を行います。代位弁済後、6ヶ月を経過してしまうと住宅資金特別条項は利用できなくなります。
6ヶ月を経過していない状態で個人再生の申立てをすれば保障会社の代位弁済前の状態に戻すことができます。これを、「巻き戻し」と呼びます。

個人再生をすることで起こる、配偶者や保証人などへの影響

個人再生は、あくまでも個人単位でするものですので、基本的には家族への影響はありません。家族がクレジットカードを作れなくなったり、ローン等が組めなくなるということはありません。

ただし、家族カードを作っている場合、そのカードの債務が再生の対象になった場合はそのカードが使用できなくなる可能性があるということと、家族の誰かがローンを組むときに再生債務者は保証人となることがかなり難しくなる、といった影響があります。

また、個人再生をした場合、債権者は保証人に対して返済請求をすることになります。この時点ですでに再生債務者は分割での返済ができない状態になっていますので、ほとんどの債権者が保証人に対しては残金の一括請求をするでしょう。

とはいえ、再生債務者も残債を減額した金額を支払うことになります。そのため、保証人が支払わなくてはいけない金額は残金から再生債務者が支払った額を引いた残りの額になります。

実際には、再生債務者と保証人が同時並行して返済をしていき、両者の返済額の合計が残債に達したときに借金の返済が完了したことになります。

個人再生をすると自分の住居を残せるという大きなメリットもありますが、保証人に多大な迷惑をかけてしまうというデメリットもあるのです。

個人再生して家も残す方法はあるのか?

ここまで、何度か「住宅資金特別条項」という言葉を遣いました。個人再生で家を残すために必要な制度である、ということはおわかりいただけたと思います。
それでは、この「住宅資金特別条項」についてもう少し詳しくご説明しましょう。
住宅資金特別条項(=住宅ローン特則)とは、住宅ローンの支払額はそのまま、もしくは時期などを変更して支払いを続け、住宅ローン以外の債務について個人再生によって減額や分割払いにすることができる制度のことです。
対象となるのは、住宅の建物と敷地です。この制度を利用するための要件は以下になります。

  • 「住居」の用に供する建物であること(事務所利用などでは不可)
  • 再生債務者の所有するものであること
  • 床面積の2分の1以上に相当する部分が専ら再生債務者の居住の用に供される建物であること
  • 複数の建物がある場合、それらのうち再生債務者が主として居住の用に供する建物であること

簡単に言うと、「再生債務者本人の住宅」であることが要件となります。

前述したように、このローン特則は住宅ローンの返済はそのまま支払うことが条件です。そのため、住宅ローンの残債はそのまま残ることになります。

個人再生以外の方法とで住宅ローンの支払い苦から解放される方法

自己破産や任意整理と比べて個人再生のメリットは?

自己破産、任意整理、個人再生についての違いとそれぞれのメリット・デメリットについてご説明します。ただし、これらは決してメリットやデメリットで比較して選択するものではなく、債務の大きさ、経済状況で選択することになります。

自己破産

困窮度が最も高いときに選択する、「最後の手段」のようなものです。

  • メリット
    • 全ての債務の支払い義務が免除され、0からスタートを切れる
  • デメリット
    • 金融機関のブラックリスト(5年~10年間、新規にローン等の借り入れができず、クレジットカードも作成不可になる)に入ってしまう
    • 一定期間、特定の士業に就けなくなるなど職業に規制ができる
    • 持家や車などの財産を失う

任意整理

債務の総額が比較的少ないときに選択する、債権者と話し合いにより行う手続きです。

  • メリット
    • 手続き後の返済の利息が免除されるため債務の完済が早まる
    • 複数の債権者がいる場合、そのうち特定の債権者に対してのみ任意整理をすることもできる
    • 自宅や車などの財産を残しておくことも可能である
  • デメリット
    • 任意整理に応じない債権者も多い
    • 金融機関のブラックリストに入る

個人再生

自営業を営んでいる人やサラリーマンなど、要件を満たした人が選択できる手続きです。

  • メリット
    • 債務が残債によって10分の1~5分の1程度に減額されるため返済が楽になる。
    • 自宅を処分せずに、残せる可能性がある
  • デメリット
    • 金融機関のブラックリストに入ってしまう
    • 返済を継続するための収入が安定的でなければ手続きできない
    • 車は生活の必需品とみなされず処分しなくてはいけない可能性がある

借金の返済が全て免除(税金の滞納は含まれません)になる点では、自己破産が一番「得」という見方もできます。しかし、自宅や車を失うばかりではなく、特定の職業に就けなるなど信用を大きく落とす手続でもあるのです。

一方、任意整理は自由度も高く、比較的ライトな手法です。債務も「今後の利息がカットされる」程度で他の手続きに比べ債務の減り方は少ないのに、他の手続きと同様に金融機関の信用情報に傷がついてしまいます。

債務の大きさや経済状況にもよりますが、家を残しながらも債務の総額を大幅に減額できる可能性がある個人再生は他の手続きと比較して一番「得」なのかもしれません。

個人再生をする前に任意売却はオススメか?

自宅を残す必要がないのであれば、個人再生をする場合でも自宅の任意売却をすることはもちろん可能です。しかし、住宅ローンが残っている場合には住宅ローンの債権者に任意売却に同意してもらえるのかを確認しなくてはなりません。

まずは、弁護士に依頼して住宅ローン特則を付さずに個人再生を申立てる予定であることを債権者に通知してもらいましょう。それにより、債権者も任意売却に応じてくれることがあります。

そして、債権者が担保末梢(自宅に付いている抵当権を末梢すること)に応じることができる最低金額を上回る金額で売却できるよう、不動産会社に依頼することになります。

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